事情により妻、娘と別居する事になった。

会えるのは年に数回…

毎日真っ暗な部屋に1人…

今振り返ると家族に迷惑ばかりかけていた気がする。

娘の誕生日はいつも仕事でろくに祝ってあげれなかったし、妻には仕事の愚痴ばかり。

その代償がきたんだろう。

別居前に妻は私に、

『2人で何とかするから大丈夫』

と言い残して行った。

今日は久しぶりに娘と妻に会える日。

別居して数年が経ち、私は自然と2人の相談役になっていた。

こんなに仲良く出来るのなら、もう一度一緒に住みたい。

しかしそれは許されない事だ。

『お父さ~ん』

あ、妻と娘が来た。

「来てくれてありがとう」

いつもろくな出迎えも出来ない私なのに2人はそんな事も気にもしないで来てくれる。

「少し背が伸びたね」

やっぱり娘の成長は嬉しい。

『お父さんの大好きなお花持ってきたよ』

「ありがとう。飾っててくれないか」

娘はいつも私に花を持ってきてくれる。

『あなた。私からはお酒』

「…ハハ、ありがとう。でも昼間から飲めないよ。その辺に置いててくれ」

妻はちょっと恥ずかしそうにお酒を置いた。

「最近何かあったかい?」

すると娘が、

『私ね学校で好きな人が出来たの』

と喜んで話した。

「そうか!良かった。もう立派な大人じゃないか」

リンゴのように頬を赤くする娘が可愛い。

妻は、

『私はパソコンの免許とれたから来月から仕事なの』

と笑顔で言った。

「そうか…良かったね」

一緒に住んでたら私が仕事しているのに…


楽しい一家団らんは、あっという間に過ぎた。

『また来るね、お父さん』

変わらない2人の笑顔に涙が出た。


















『さぁ、もう一度お父さんに手を合わせて帰りましょう』










線香の香りがほのかにする中、私は妻と娘が仲良く手を繋いで帰る後ろ姿をずっと見ていた。