人類が誕生しておよそ500万年となる。

人々は快適な環境を求め続けるため森を切り開き、海を埋め立て、広大な都市を作って開発を進めてきた。

だがその結果、地球は環境破壊が進み、貴重な緑や動物が失われて多大なダメージを受けてしまったのは揺るぎない事実である。

では地球から人類が居なくなったらどのような変化をするのか?

果たして地球は救われるのだろうか?

この問題について、あらゆる科学者や専門家が分析をして人類消滅1日目から10000年後までを仮定したところ驚くべき結果となった。



《人類消滅1日目》

この日の朝、世界中の人々全てが忽然と姿を消したという事から仮定してみる。

街中は静まりかえり、朝の訪れを見る人間はもはや誰も居ない。

持ち主を失った目覚まし時計が家々から鳴り響く中、ペットとして飼われていた犬や猫が飼い主を探し始める。

昼間は何事も無く過ぎていくのだが夜になると、ある変化が訪れる。

それは街中の電気が消えてしまう事。

電力供給である火力発電所が燃料を補給する人間が居ないため停止してしまうのである。

また原子力発電所の場合は過剰供給を防ぐ安全装置が働き、自動停止してしまう。

風力発電では風の力でいつまでも稼働していると思われるが、タービンのベアリングのメンテナンスをする人間が居ないため、錆びて止まってしまうのである。

これらの送電が止まると街中が暗くなる事以外に別の影響が出てくる。

それは地下鉄や地下ショッピングモール。

地下トンネルは常に内部を乾燥状態に保つため地下水を排出するポンプが備え付けられているが、送電が止まると瞬く間に地下水が流れ込み、2日以内には地上の道路にまで溢れる事となる。


《人類消滅10日後》

スーパーなどの食料品は既に腐り始め、異臭を放つようになる。

この頃、家々ではペットの犬達が空腹に苦しみ、餓死が目立ってくる。

もちろん彼らは食べ物が詰まった冷蔵庫や缶詰めなどを自分で開ける事が出来ないため、人間に世話をしてもらえなければ餌にありつく事が出来ない。

運良く家の外へ出られたとしても、狩りの仕方を知らないペットの犬が生き延びるには残飯あさりしかないが、それらも人間が残したものであり、いつまでも食べれるわけではない。

現在、世界中には約4億頭の犬が居るが、その殆どは生き延びられないと考えられる。

特にペット用に交配された小型犬はまず絶対に無理だろう。

一方、同じペットである猫の場合はどうなるか?

実は猫は元々から野生の本能が残っており、すぐにネズミや小鳥などの小動物の狩り方を覚え、生き延びる事が出来る。

人間に対してそれほど依存しないで生きてきた猫は犬と違って自立して生き残るのである。

そしてその猫の餌となるネズミ。

生命力が強く、どんな環境にも適応しそうだが、実はネズミは驚くほどに人間の食べ物に依存して生きているため、人間が居なくなるという事は餌が無くなる事と同じで、いずれ死に絶えてしまう。


《人類消滅1年後》

この頃になって目立ってくるのが植物である。

植物は人間に遮られなければその生命力の強さで瞬く間に成長し、街の道路の殆どは草木で覆われる。

例えばニワウルシなどの木は家や建物にも張り付いて成長して食い込んでいくため、壁やコンクリートはその力で崩壊されてしまう。


《人類消滅5年後》

世界中の道路は草木により跡形もなく消えて一面が緑の植物でいっぱいになる。

巨大建造物は苔などで覆われ、公園は木が成長して鬱蒼とした森と化す。

この時、動物達の生き方にも変化が起こる。

街に緑が戻ると、それらを求める草食動物が増えてくるのである。

更にその草食動物を狙った肉食動物も増え、街中を動物が歩きまわる姿が多くなる。


《人類消滅25年後》

この時には頑丈に作られた都会の高層ビルにも変化が起きてくる。

ビル内の窓を密閉するための弾力材が硬くなり、気温の変化でガラスにかかる圧力が加わり、一斉に割れ始めるのである。

しかも1枚窓ガラスが割れ始めるとビル内にかかる風圧が一気に増加して連鎖的に次々とガラスが割れていく。

更に避雷針が錆びて役目を果たす事が出来ず、落雷によって紙などに引火してビル街は瞬く間に火の海となる。


《人類消滅50年後》

都会の高層ビルはコンクリートの劣化により剥き出しの鉄骨姿になりながらも何とか持ちこたえていたが、木造の住宅街はシロアリや気温の変化による自然火災で次々と倒壊して無くなっていく。


《人類消滅100年後》

ついに人類の遺産である巨大建造物にも限界が訪れる。

それは世界中にある街と街を結ぶ巨大な橋。

メンテナンスをする人間が居ないため橋を支えていた鋼鉄のワイヤーは断裂してバランスを失い、一気に崩れて海の中へと消えていく。

だがこれは人間の文明の証が消える序曲にすぎない。


《人類消滅200年後》

ついに高層ビルはその重さに耐えきれなくなり次々に崩落し始める。

人類が生きた証である貴重な歴史資料や美術品を保管した建物も崩落し、書物や映像をおさめたフィルムはカビなどで分解され、跡形も無く消えていく。

皮肉な事だが、現代人が生み出した最新のテクノロジーより、遥か昔の古代人が石に記した石板や壁画の方が長い年月残り続けるのである。


《人類消滅1000年後》

火山活動や地震、それによる津波などで大地は大きく変わり、街だった場所は川や湖、森となり人間が存在した証は殆ど無くなる。


《人類消滅10000年後》

更なる進化を遂げたあらゆる生き物が生命を謳歌し、全てが緑に包まれた地球になる。

その中に人類が居た痕跡はエジプトのピラミッドや中国の万里の長城、アメリカのラッシュモア山など、ほんの僅かにしか残っていない。


そう…

地球から人類が消滅したらどうなるか…?

その答えは…

「地球は失った全ての自然を取り戻して本来の姿になる」

という事。

これらの流れは単なる仮説だが、人類と地球との関係を見直す時期が来ているのは確かである。