先週、4年生クラスでの
「お話タイム(読みきかせ)」で
“おとうさん” をテーマにした絵本を
2冊読みました。
“おとうさん”の絵本も
けっこうたくさんあって、
選書に迷いました。
先週は読めませんでしたが、
「父の日」を迎える前に、
選書候補にと考えていた絵本を2冊、
この場でご紹介しておきますね。
『てんごくのおとうちゃん』
長谷川義史 (講談社)
『おとうさんは ウルトラマン』
作 絵 みやにしたつや (Gakken)
『てんごくのおとうちゃん』は、
タイトルから推察できるように、
今は亡き父の思い出を語った絵本です。
はいけい、てんごくのおとうちゃん、
げんきにしてますか。
と始まり、
しんぱいしないで くださいね、
おとうちゃん
と結ばれる
亡き父に宛てた息子からの手紙
という形式で綴られています。
最後の方に
はいけい、
てんごくのおとうちゃん、
ぼくは もうすぐ
よねんせいになります
という一文があるので、
4年生のクラスで読むのに
妥当じゃないかい?
と考えた次第です。
万引きしそうになったことがあるけれど、
やめた「ぼく」
わるいことして
じごくにおとされて
おとうちゃんに あえなくなったら
あかんから
父親が亡くなり、天国にいる
と「ぼく」が考えているということだけでも
この「おとうちゃん」は、
「ぼく」にとって、
今も心の中で生き続けているのであって、
規範であり、良い父親
ということなのだと思います。
一番の思い出なのでしょう。
飛行機のショーを
見に連れて行ってくれたことも
書かれていますが、
そんな楽しかった思い出ばかりでなく、
キャッチボールがうまくできなくて
よく泣いたこと、
一度だけ、頭をどつかれたこと、
買ってもらったウクレレを
壊してしまったことを内緒にしていたこと、
亡くなった当日のことや
他の人から、
「かわいそうに」と同情されるたび、
ぼくより おとうちゃんが
かわいそうなんとちがうやろか
と考えていることなど、
リアリティが感じられる
内容です。
ファンタジーが苦手な児童にとっては、
先週読んだ
「かっぱ」が登場する『とうさん』より、
『てんごくのおとうちゃん』の方が、
身近に感じられて、よかったかも…
と思いますが、
リアリティが強いということは、
「亡くなった」という事実も強く感じられるため、
「重い」とも捉えられ、
一日の始まりの朝の時間にはちょっと…と、
躊躇してしまいました。
なお、作者の長谷川義史さんは、
大阪府のご出身で、
本文も関西弁が多用されているので、
関西弁を日常的に話されている読み手、
あるいはそんな聴き手が多い場で読むと、
さらに、リアリティが増すと思います。
ちなみに、母子家庭の男の子が、
親にお手紙を書く
という形式の絵本は、
『おかあさん、げんきですか。』
後藤竜二・作 武田美穂・絵
(ポプラ社)
も同様です。
が、こちらは
いなくなった父宛ではなく、
(亡くなったのか?離婚したのか?は
不明ですが、本文中の
ぼくがあかちゃんで、うちに
おとうさんがいたころ
という一文で推察できます。)
子どもを育てるために懸命に働き、
家事に育児に奮闘している
母宛に書いた内容となっています。
残された母親が奮闘するという物語は、
この『てんごくのおとうちゃん』の
続編とも言える
『おかあちゃんがつくったる』
長谷川義史 (講談社)
があります。
朝の「読みきかせ」で読むのなら、
今、まさに生きている人物に
スポットが当たっている
こちらの絵本の方が、私好みかも…。
一方、
『おとうさんはウルトラマン』
こちらの初版は
今から30年前の1996年6月に発行されましたが、
ベストセラーになり、
その後も
『帰ってきたおとうさんはウルトラマン』や
『パパはウルトラセブン』等、
続々と発刊され、
現在 Gakken の人気シリーズ
ともなっている絵本なので、
ご存知の方も多いかもしれません。
おとうさんはつよい
おとうさんはつかれない
等々、いくつかの項目について
起承転結風に、
4ページでまとめられています。
文章は短く簡潔で、
絵の配色が、
橙、青、緑、黄、黒(とそれらの混色)
と独特で
ウルトラマンの世界を表現しているかのようです。
しかし、テレビに
「ウルトラマン」が登場し、活躍していたのは
昭和時代です。
令和を生きている児童たちが
果たして異星から来た怪獣(宇宙人)と闘う
「ウルトラマン」を知っているのか…?
もっとも、
作者のみやにしたつやさんが
この絵本の冒頭に書かれているように、
ウルトラマンは、目に見えないけれど、
確かなものをいつも追いかけていた。
勇気と希望を、優しさや思いやりを、
そして愛を…。
ウルトラマンは決して色あせない、
朽ちることのないものをぼくに見せてくれた。
と書かれているように、
時代が流れても、
色あせない、朽ちることがないもの
ということをテーマに据えているのなら、
令和の児童達にも伝わるのかも…。
ただ、
あくまでも「父」の立場で
子どもを見つめているこの絵本は、
子どもたちにより、やはり、
日々の仕事をがんばりながら、
我が子に無償の愛を注いでる
世のお父さん世代にこそ
「読みきかせ」をした方が
ふさわしいのではないか?
そんな疑問が生じて、
結局、今回の教室では読みませんでした。
ちなみに、私のお気に入りは、
ラストの
おとうさんはいそぐ です。
おとうさんは ウルトラマン
おとうさんは しごとに てぬきは しない
それでも きっちり 3ぷんで しあげる。
ざんぎょうは しない。
そして いそいで かえって いく。
なぜって……
「結」部分は、
実際に手にとって読んでみてくださいね。



