今月の本【3月】『102歳、一人暮らし』 | 水脈のブログ

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読みきかせ記録(絵本等の紹介)と、自分の心に生じた想いや、刻まれた記憶を思いつくままに綴っています。
当ブログ開設当初から好きだった東方神起やジェジュン、ユンジェに関して。そして、2021年以降は、防弾少年団(バンタン:BTS)のことに、思いを馳せることも。


先週は雨続きでしたが、

今週は晴れの日☀️が多かったですね。

日中は気温も上がり、

桜も菜の花も、

あっという間に満開になり、

明日からは4月。新年度が始まります。


3月に読んで、私が元気をもらった本。

102歳という

人生の大先輩の著書です。


『102歳、一人暮らし』

石井哲代 中国新聞社 (文藝春秋)

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916460



『102歳、一人暮らし』は、

「中国新聞」(広島を基盤とする新聞)に、

2020年10月26日〜2022年6月6日に連載された

広島県尾道市にお住まいの

石井哲代さんの暮らしぶりをルポした記事に

加筆修正されたもので、今年1月に

文藝春秋から発行され、

わずか1ヶ月で、5刷となった

ベストセラーです。


私は、書店で見かけて、

表紙に写っている

哲代さんの福々しい笑顔に惹かれて

購入しました。

純粋に、

102歳という高齢で一人暮らしって、

すごいけれど、

どんな毎日をすごしていらっしゃるのかな?

という興味もありました。


1920 年に広島県府中市上下町に生まれた

哲代さんは、20歳で小学校の教員となり、

26歳の時、小学校教員の良英さんと結婚し、

尾道市へ。

子どもが生まれなかったこともあり、

義理の両親を看取り、

83歳で良英さんを見送った後は

ずっと一人暮らし。

56歳で退職してからは、

畑仕事をする毎日

なのだそうです。


「さびない鍬でありたい」を

座右の銘に

脳トレちらしで漢字の書き取りをしたり、

柔軟体操をしたり、

夜は、日記を書き、

寝る前には、

枕元の

夫、良英さんの写真と会話したり。

また、週一回は、

「仲よしクラブ」の集まりに出かけ、

地区のお仲間と

大正琴を弾いたり、おしゃべりしたり…

そんな何気ない日常が綴られています。


高齢での一人暮らしは、

当然、寂しさやせつなさ、

心身への不安もあります。

時に騒ぎ出す「弱気の虫」が暴れないよう、

体を動かし、

ささやかなことに大喜びし、大笑いして、

自分を励ましながら暮らしておられました。


私、人生を謳歌しているように見えるでしょう。

でもね、悩みはあるんでございます。

悩み事は日記にちょびっと書きます。

そしたら心がすーっとする。

自分が納得するんですね。


体調を崩して入院されたこともありましたし、

自分の好きに生きることに執着したら、

みんなに迷惑ばかりを掛けてしまうと、

施設に入る という選択肢が

頭から離れないこともあったようですが、

それでも哲代さんは、

時には、姪御さんや誰かの力を借りたり、

介護サービスを活用しながらも、

自分の気力と体力を確かめつつ、

何でも用意してもらって、

準備してもらうような

受け身ばかりにならないよう

できることは自分でやるよう 

一人暮らしの日々をいとおしんでいる

と話しておられます。


できなくなったことを追わない、

くよくよしない

できることをいとおしんで、

自分を褒めて、

まだやれるという自信に変えるんですね。


1946年に

農家(しかも村長さんの家だったそう)に

嫁いだ哲代さんに

子どもが授かることはなく、

子だくさんがあたりまえの時代に、

跡継ぎができないことで

ずいぶん悩まれたようです。

教員という仕事、

自分が生きる場所がちゃんとあったから

家でも頑張れたかもしれないと

哲代さんは回顧されています。


思い悩む暇をつくらんように、

その日その日を忙しく働くことばかり

考えておりました。


痛い思い、切ない思いをして

ようやく行き着いたのが

今の私です。とも。


気張らず飾らず、あるがままを受け入れる。

自分を大きく見せんことです。

煩悩やねたみといった、しんどいことは

手放すに限ります。

その代わり、うれしいこと、

楽しいことは存分に味わうの。

感情の足し算、引き算を

うまいことやっていくしかありません。

元気でいるためには、まずは「心」ですから。

心が体を引っ張ってくれる。

心がしんどくならんようにするんが

大切じゃと思います。



生き方上手になる五つの心得

一、物事は表裏一体。良いほうに考える

  おばあさんの手の甲はしわしわですが、

  ひっくり返せばつるつるです。

  失敗もひっくり返して、

  良いほうに考えるんです。

二、喜びの表現は大きく

  うれしいな、ありがとうという

  気持ちを伝えようと思えば

  自然にオーバーアクションになります。

三、人をよく見て知ろうとする

  ちょっとした変化に気づくことは

  大人同士のつきあいでも

  大事なことじゃと思います。

  声掛けの内容によって相手の反応も変わる。

四、マイナス感情 笑いに変換

  「ないない」ばかりじゃ気分が沈むから

  言いたくないんです。

  心の落ち込みは魔物です。

  落ち込みそうになったら

  早めに自分を助けてあげんといけんのです。

五、手本になる先輩を見つける

  まねをしながら、体に染み込ませていけたら  もうけものです。


哲代さんの長い人生から得た心得

なるほど、納得です。

2022年6月のページに書かれている

自分らしくいるために大切にしていること

5カ条も、とても共感しました。



【哲代おばあちゃん流

私らしくいるための五ヵ条】

一、自分を丸ごと好きになる

二、自分のテンポを守る

三、ひとりの時間も大切

四、口癖は「上等、上等」

五、何げないことをいとおしむ


自分が、哲代さんのように

元気で100歳までも長生きできるか…?

とても想像できませんが、

年齢云々ではなく、

今現在悩んでいる私にとって

哲代さんの言葉は、

励まし、力を与えてくれるものでした。

悩みは完全には吹っ切れないでしょう。

でも、私も哲代さんのように、

一日一日を愛しんで生きたいと思います。


情けないことも、

しんどい思いも全部自分の心です。

引きずるのも打ち切るのも

やっぱり自分次第ですけんね。

自分の心は自分で育てるしかない。


うつむいてないで、顔を上げて

ほら、

大地も空も、こんなに美しい!