コンサート・ピアニスト以外にもピアノを弾いて収入を得る職業があります。

まず、オペラの世界になくてはならない「コレペティトル」。

これは、オペラの練習で歌手に稽古をつけるピアニストのことですが、原曲のオーケストラ・パートをピアノで伴奏するだけではなく、歌手に対して歌唱法や発音のアドバイスもする必要があるので、声楽、語学、発音についても、それぞれ専門知識がないと務まりません。

もう一つの例として、バレエ団に所属するバレエ・ピアニストという職業があります。

ダンサーの毎日の練習のときに、基本的な舞曲をピアノで伴奏したり、公演のリハーサルでピアノ伴奏を担当します。

バレエ曲の多くはオーケストラ曲なので、それをピアノで編曲して弾くのですが、あるバレエ・ピアニストに聞くと、全部の音符を弾くとかえって分かりにくいので、ダンサーがオーケストラから聞こえやすいと思われる音を拾って弾かなければなりません。

つまり、原曲のオーケストラ曲もよく知っている必要があるということ。

さらに、踊りのテンポが曲のテンポよりも優先するので、事前にバレエのビデオを見てテンポをチェックするそうです。

ほかに、これは専門職というよりもアルバイト的なものになりますが、ホテルや結婚式場で披露宴のBGMを担当するブライダル・ピアニスト、また、映画やドラマの音楽の録音・制作時にピアノ・パートを担当するスタジオ・ミュージシャンなどがあります。


ピアノの上手下手の評価基準は、人によって様々だというのが、正直な答えです。

音楽とは本来、点数で評価をつけられない芸術です。

強いていえば体操競技やフィギュアスケートの採点に、似たところがあります。

体操での技の難度やフィギュアスケートでの規定演技のような、いわゆる客観的な基準を、ピアノ演技に当てはめてみると、譜面通り弾いているかどうかということになるでしょう。

音符、リズム、強弱、テンポなど、作曲者の指示を忠実に守っているかということです。

しかし、演奏にミスがないからといって、誰からも文句の出ない素晴らしい演奏かといえば、必ずしもそうではありません。

演奏者の感情がこもっていなければ、機械的な冷たい印象を与えるでしょう。

一方で、ミスタッチが多くても、技術的に多少問題があっても、音楽的な感動を与える名演奏を聴かせるピアニストはたくさんいます。

では何が感動を与えるのかというと、それも聴く側の素養、経験、感性、趣味などによって、様々です。

音色の美しさ、演奏の構成、表現力、音楽性、あるいは演奏者の人間性など、譜面を超越した次元での評価基準は多種多様であり、何を重視し、どう感じるかは聴き手次第ということですね。

そうとは限りません。

作曲家が自分で演奏するために作曲したのかどうかということに、関係しているようです。

モーツァルトやベートーヴェンの時代までは、ほとんど自作自演を前提として鍵盤曲が作られていましたが、ピアノという楽器の発達とともに、演奏技法が開発されていった19世紀、超絶技巧を誇ったピアノの名手達が現れ、名人芸という概念が広まりました。

録音技術のない時代のことですから、彼らの演奏技巧がどの程度のレベルだったのかは分かりませんが、例えば、リストの超絶技巧がいかに驚異的であったかは、シューマンが評論文で書いていますし、リストの壮絶な演奏ぶりを伝える戯画も残っています。
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