「レッスンで使うピアノは鍵盤が軽くて弾きやすいのに、どうして家のピアノの鍵盤は重いんだろう?」と感じたことはありませんか?

ピアノは一台一台、個性を持った楽器ですから、まったく同じ楽器というのは存在しませんが、それにしても鍵盤の重さに大きな変化があるものなのでしょうか?

はたまた、重さを調節することなんて可能なのでしょうか?

鍵盤の重さというのは、だいたいが弾いたときの感覚で判断されます。

物理的な鍵盤の重さはほぼ同じだとしても、響きが良く明るい音が出たら「軽く」感じるでしょう。

反対に、響きが悪く暗い音が出たら「重く」感じるはずです。

車のアクセルでもそうですね。

踏み込んですぐに加速したら「軽く」感じますが、なかなかスピードが上がらなかったら「重く」感じるでしょう。

このように、「重い」「軽い」の判断ポイントが実にアバウトなのです。

とはいうものの、重さを調節することもできます。

一つの例として、深さの調節による、鍵盤の運動量の変化です。

鍵盤の深さは10ミリくらいあり、その幅の範囲内で紙を抜き差しして深さを調節します。

9・5ミリくらいにすると運動量が減るため「軽く」感じ、10・2ミリくらいにすると運動量が増えるので「重く」感じられるのです。

また鉛を入れて重量そのものに変化を出す方法もあります。

打鍵するとハンマーが弦を叩き、音が出る…

つまり中央に支店があって運動が行われているので、[てこの原理]が働いています。

グランドピアノは手前に鉛を入れ、アップライトピアノは奥の鉛を抜くことで、「軽く」することができます。

指に力をつけるために、あえて「重い」鍵盤のピアノを選ぶという話を聞きます。

選ぶポイントは人それぞれですが、手や指が未発達の幼児に無理矢理「重い」鍵盤を弾かせると成長によろしくありません。

くれぐれもご注意を。

グランドピアノの屋根を開けると、「ミュージックワイヤー」と呼ばれるたくさんの弦が見えます。

1つの音に対して、一番低い音は一本、低音域が二本、中から高音域は三本の弦を使っているので、ピアノ一台につき約230~240本が張り巡らさせているのです。

また1878年にはドイツのピアノメーカー、ブリュートナーが、一つの音に四本の弦を使うシステムの特許を取得しました。

このシステムを「アリコート」と呼び、実際には打弦しないものの、共鳴作用が働き、美しい響きを出すのです。

そんなピアノ弦は、とてつもないパワーを持っています。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756~91)やベートーヴェン時代のピアノ弦は、鉄や真鍮が用いられていたため、か細い音しか出せませんでした。

しかし次第に大ホールで演奏する機会が増えるようになり、それにしたがって音量増大が必要になったのです。

そこで登場したのが、現在も使用されている鋼鉄製の弦。

これまでと打って変わって、大きい音や明るい音が出るようになり、メリハリもつくようになりました。

この弦は一本につき約80キロの力がかかっています。

つまりピアノ一台分の張力は…なんと、およそ20トン!

しかし、そんな強靭な弦でも切れてしまうことが。

どんなに驚異的なパワーを発揮していても、長く使っていると弦が金属疲労を起こし、磨り減っていきます。

主にメロディラインが奏でられる音域は、使用頻度が高くなることから、切れやすくなってしまいます。

調律中や、演奏会の最中に切れてしまうことも…。

コンサート会場には調律師が待機しているので、続行に支障をきたすようなら張り替えますが、基本的にはコンサート前に入念なチェックを行っています。

使いはじめてから何年後が危ない、など具体的な基準はなく、いつ切れるか分からないものなので、まめに点検することが一番の対策方法です。

家庭用として広く普及しているアップライトピアノは、高さ約115~130センチ、重さ約200~250キロが一般的です。

日本では、高さに関して120センチ前後が標準と設定されているようです。

このサイズ以下になると、実用性や品質を維持するのが難しいという理由からでしょう。

小型で115センチ程度の楽器もありますが、音を出すアクション部分が少し窮屈そうです。

横幅は、88鍵の場合で約145センチ以上。

奥行きは約55~68センチなので、アップライトピアノで演奏するためには二畳以上のスペースが必要です。

次にグランドピアノですが、重さも奥行きもかなり幅があります。

普通のグランドピアノで、重さが約300~350キロ前後といったところ。

小型の楽器では奥行き150センチくらいで、重さ250キロ程度のものもありますし、ベーゼンドルファーのインペリアルのように、奥行き290センチで重さ570キロ、97鍵のため横幅168センチという、超大型ピアノもあります。

グランドピアノは、低音域の弦がより長い方が表現力が豊かになるので、奥行きに幅があるのです。

ちなみに、ヤマハやカワイ、スタインウェイのコンサート・グランドピアノは約275センチ、ベヒシュタインでは280センチです。

奥行きによって響板やフレームなどに変化が生じ、重さにも幅が出ることになります。

ベーゼンドルファーのインペリアルでもかなり立派ですが、上には上がありました。

イタリアのファツィオーリというメーカーのピアノで、なんと奥行きが308センチ、そして重さは690キロ。

サイズについては特別な決まりはなく、メーカーごとに自由に設定できるのですが、あまりの存在感に圧倒されてしまいます。