こんばんは、メンタルヘルスオフィス「ハートライン」の田中豪です。
昨日の土曜日は、夕方から久しぶりに知人と会い、楽しいひと時を過ごす事が出来ました。学生時代の話、現在の仕事の話、プライベートな話など話題は尽きず、あっという間にタイムリミットとなり、近日の再開を約束し、その場を後にしました。また沢山の元気をもらった感じがします。
反対に、今日は終日資料の作成に追われています。企業の研修やコンサルティングは、たとえ同じ業種でも、その企業毎に可能な限りオリジナルの物を作成するようにしています。当然ながら、その準備には多くの時間を必要としますが、少しでもその企業の現状にマッチさせる為なので、今後もこの方針は変わりません。
さて、今回のテーマは、
「勤務中でも眠気が抑えられない…周囲の誤解を招く「ナルコレプシー」の正体」
です。今回は、ナルコレプシーのみではなく、睡眠に関しても一部ですが取り上げたいと思います。
多少ボリュームがありますが、現場での対応方法も含まれていますのでお付き合い頂ければ幸いです。
ナルコレプシーという疾患は、分かり易く言うと、突然何事もなかったように完全に脱力し、気を失う事もある病気です。
原因は脳内ホルモンの異常と言われていますが、専門医の指導のもとに、服薬を継続する必要があり、中止してしまうと元に戻ってしまいます。
私は、まず臨床の現場で業務中の強い眠気、または居眠りをしてしまう症状を認めた場合には、以下の3つのアプローチを考察します。
① 生活習慣の乱れにより確実な睡眠がとれていない
飲酒・ゲーム・過重労働等により、熟眠困難、入眠困難といった睡眠障害がある場合。
前者の飲酒やゲームは30代半ばまでの比較的若い世代に多く見られます。中には40台後半でメールに熱中し、気付くと朝型・・・、というケースも過去に存在しました。
この様なケースには、まず一社会人としての自覚、業務における責任の重さ等、社会人として基本的な事を伝え、生活習慣を見直す事の重要性を指導します。大変残念な事ですが、この様な社会人が非常に多い印象を受けます。
後者の場合には、過重労働等、属する組織の構造が原因となり、基本的に本人に責任がないケースです。
対応策として、人事・総務の担当者に対して、労基法や安衛法の明らかな抵触がないか、これまでに過労死や精神疾患が発生していないか、過重労働が管理監督者の指示によるものなのか、本人の自主的なものなのか等の聞き取りを行います。その後は、まさにケースバイケースですが、ここまでの流れは基本的には変わりません。
② 睡眠時無呼吸症候群
最近、取引先の従業員のカウンセリングを行っていても、この睡眠時無呼吸症候群を疑うクライアントが非常に増えています。別名SASとも呼ばれます。
・夜寝ているはずなのにとにかく眠い
・業務中、瞼が勝手に閉じてしまう
・いびきがすごい(分からない場合には同居人、または奥様等に確認していただきます)
これらの症状が認められた場合、私は必ず呼吸器の専門家や精神神経科等に紹介状を作成し、確実に治療に結びつけていきます。これはあくまでも現場での経験値ですが、肥満体の方や軽度のうつ状態を疑う方にも多い傾向がある様に感じます。
但し、一つ注意していただきたいのは、この病気は全ての呼吸器外来でも診断できるわけではありません。最近増えて来てはいるのですが、受診される前に必ずホームページや病院への問い合わせ等によって診断可能な医療機関かどうかを確認するようにお願いします。
③ ナルコレプシー
前述の睡眠時無呼吸症候群に比べると通常時の眠気の症状は低いように見受けられます。しかし、発症すると急激に眠気や脱力感に襲われる状態です。この病気も同様に、診断可能な医療機関は限られますが、インターネット等で専門医の検索が可能です。
現場では、精神神経科、神経科、精神科等をベースに専門医宛の紹介状を作成し、リファーします。
以上です。この他にも、うつ病や神経症を疑う場合など、様々なケースが存在します。
何より大切な事は、早期発見・早期治療です。これを徹底することで、組織の職場環境は確実に向上していきます。
ハートライン 田中豪
田中豪l:tc-room@ac.auone-net.jp
HP:http://www.counselor-tanaka.com/
〒104-0045 東京都中央区築地2-11-2
<以下参考記事・一部省略>
都内の電気機器メーカーに勤務するAさん(25)は、入社2年目。まだ新人だが、勤務中によく居眠りをする、と上司から叱責を受けた。
「この不景気の時代に、君は緊張感がなさ過ぎるんだ」
Aさんにしてみれば、けっしてそんなことはない。懸命にやっているのに、気づかないうちにウツラウツラしているのだ。
スリープ&ストレスクリニックの植木洋一郎医師が語る。
「勤務中、気づかないうちに居眠りをする。仮眠を取ってすっきりしても、2~3時間するとまた眠たくなる。このように覚醒が続かないばかりか、眠りが浅く、よく悪夢を見る。これはナルコレプシーと呼ばれる、オレキシンという脳内ホルモンの異常によって起こるもので、覚醒を維持できない病気です。オレキシンが上がると起き、下がると眠くなる。そこまではわかっているのですが、それ以上のことはまだ解明できていません」
本来は病気なのに、気づかないでいると、勤務先でトラブルを起こすことがある。Aさんの例は、他でもよくあることだ。
「病気のことが理解されずに、怠慢だとして勤務先を解雇されたり、職を転々としている方も少なくありません」(植木医師)
厄介なのは、それだけではない。植木先生は、こう警告する。
「大笑いしたり、興奮したり、喜怒哀楽を出したとき、突然、脱力してしまうのです。例えば、大笑いしている途中、膝の力が抜けて転倒したり、手の力が抜けて物を落としたりする。また、頬の筋肉が緩んだり、呂律が回らなくなることもある。そのため、迂闊に笑うこともできず、素直に感情を出せない人もいますね」
そういう態度に対して「無表情なヤツだ」と周囲から誤解を受け、社会に接するのが嫌で引きこもりになってしまうケースもあるという。
「脳は最後に完成する部分といわれ、20歳まで成長しますが、この病気は10代~20代前半が多い。高校、大学までは授業中、寝ていても大丈夫ですが、社会人となるとそうはいかない。社会人になって、どうも人と違うなと気づき、専門医に相談される方が多い。なかには原因がわからず、ナルコレプシーの診断に10年以上かかったケースもあります」(植木医師)
ナルコレプシーを放置しておくと、様々なトラブルの原因ともなりかねない。サラリーマンならば、早めに治療を受ける必要がある。
では、どんな治療があるのだろうか。植木先生は、次のように解説してくれた。
「薬物治療しかありません。薬物は眠気に対するものと幻覚に対するものの2つあります。昼間の耐え難い眠気にはモディオダール、リタリンを処方します。モディオダールは脳の神経を活性化させ、はっきり目覚めさせる働きがあります。リタリンは中枢神経を興奮させ、精神活動を高める働きがある。一方、幻覚を見る人はレム睡眠を減らすアナフラニールを処方します。いずれも、専門医の指示に従って服用してください」
指示通りに服用していれば、普通の日常生活は送れるそうだ。ただし、薬をやめると元に戻る。ナルコレプシーと診断された人は、職業ドライバーにはなれないので要注意だ。
ちなみに、山陽新幹線で爆睡していた運転手はナルコレプシーではなく、睡眠時無呼吸症候群だった。
日常生活で気をつけなければならないことも、もちろんある。
「ナルコレプシーの患者さんは、睡眠不足の影響を受けやすい。日常生活で睡眠時間が6時間を切るときつくなるので、7時間は取って欲しい。仮眠は午後3時前に取り、30分を超えないことです。また、アルコールとの相性がよくないので、お酒は飲まないようにしてください」(植木医師)
厄介な病気だが、薬を服用して、十分な睡眠時間を取っていれば普通の生活はできる。ナルコレプシーだといって、あまり苦にしないようにすることも大切だ。
2011年07月21日15時00分 提供:週刊実話