アパートの2階に住んでいます。

 

そのベランダに、カエルが一匹います。

 

いつからか、どこから来たのかもわかりません。気がついたらいました。ベランダ菜園をしていた頃からずっと。

野菜を全部抜いて、観葉植物だけになった今も、まだいます。

もう1ヶ月以上になります。

 

アマガエルというやつだと思います。吸盤があるから、壁でも登れるらしい。2階くらいなら、なんてことないのかもしれません。

 

でも、気になることがあります。

 

何を食べているのだろう。

 

小さな羽虫やクモ、アリ。たぶんそういうものを食べているんだと思います。

1ヶ月以上ここにいるということは、ちゃんと食べられている証拠なんでしょう。

 

それに、一匹だけなんて可哀想じゃないだろうか。近くの空き地にそっと連れて行った方がいいのかしら。

そんなことも考えました。

 

でも、カエルは自分で移動できる生き物です。居心地が悪ければ、勝手に出て行くはず。ここにいるということは、ここがいいのかもしれない。

 

日陰があって、水気があって、虫がいて。カエルにとっては、案外いい場所なのかも。

 

とりあえず、浅い受け皿に水を張っておくことにしました。乾燥する日の助けになれば。

 

冬になったらどうするんだろう、とか、名前をつけたら情が湧いてしまうな、とか。いろいろ考えながら、毎朝ベランダを覗いています。

 

今日もいました。

きゅうり、ピーマン、大葉、プチトマト。いろいろ植えました。

 

そしてお盆明け、全部の根を抜いて片付けました。

 

収穫の記録。

 

ピーマン1個。きゅうり2本。プチトマト20個くらい。ナス0個。大葉は元気なうちに食べた数枚だけ。

 

……正直に書くと、こうなります。

 

朝夕の水やり。支柱を立てて、誘引して。虫がついたら調べて。それなりに手をかけたつもりでした。それでも思うようにはいかない。

 

暑すぎたのかもしれない。土が合わなかったのかもしれない。私の知識が足りなかったのかもしれない。たぶん、全部だと思います。

 

自然って、思い通りにはいかないものですね。

 

でも、いろいろ勉強になりました。大葉が枯れた原因を調べてハダニを知ったこと。きゅうりの花が実にならないまま落ちてしまうこと。虫は本当に律儀にやってくること。

 

来年も、たぶんまた植えると思います。

 

今度はもう少し、うまくできるといいな。

準備を進めていたステッカーが、ようやく完成しました。

 

道の駅で何か売ってみたい。そう思ったのが5月のこと。でも農作物も花もない。お弁当は設備も資格も足りない。そこで思いついたのがステッカーでした。

 

 

ステッカー自体は6月のはじめに届いていました。

 

 

そこから2ヶ月。台紙のデザインを考えて、袋を選んで、ようやく商品らしい形になりました。

 

作業は思っていたより地味な連続でした。

台紙を印刷して、切って。ステッカーを切って、台紙に貼って。袋に入れて。パンチで穴を開けて。

一番難しかったのは、ステッカーを切ることと、パンチの穴をズレないように開けること。

手作業だから、どうしても少しずつ違ってくる。最初のうちは緊張しました。

 

そして、できあがったものを並べてみて思ったこと。

 

やっと形になった!

 

……で、次はどうしよう。

 

もともとは道の駅に置いてもらうつもりで始めたこと。でも、いざ現物が手元にあると、急に現実味を帯びてきます。

誰に、どう声をかけたらいいんだろう。断られたらどうしよう。

 

作ることに夢中で、その先のことは「そのときになったら考えよう」と思っていました。そして今、まさにそのときが来たわけです。

 

でも、手元にあるこの小さな袋を見ていると、なんだか嬉しくなります。ここまで来たんだな、と。

 

道の駅に、釣具屋さんに。ドキドキしながらでも、声をかけてみようと思います。

母から相談があった。

 

自宅の裏にある八畳ほどの小さな畑。今年は暑くて、自分も歳をとって、上手に野菜が作れない。

だから来年から一緒に作らないか、と。

 

たぶん、母が一番喜ぶ返事はわかっている。

「そうだね。一緒に頑張ろうや」

 

でも、即答できなかった。

 

私が住んでいるのは車で十五分ほどのところ。

フルタイムで働いているし、ベランダ菜園では大葉を枯らしてしまうほどの初心者だ。

それに、畑以外にもやりたいことが山ほどある。

 

正直に言うと、「畑を耕す」と考えただけで——やっぱりしたくないが九割。

 

でも、母が言ったのは「管理して」ではなく「一緒に作らないか」だった。

母が欲しいのは、たぶん立派な野菜じゃない。畑で一緒に過ごす時間なんだと思う。

 

だとしたら、方法は畑じゃなくてもいいのかもしれない。

 

月に一度、一緒にごはんを食べに行く。それだけでも、時間は一緒に過ごせる。

 

それに、母は八十六歳。来年ほんとうに畑ができるかどうかもわからない。

私が「一緒にやる」と言わなければ、自然に畑じまいの話になっていくのかもしれない。

 

答えを出すのは、今じゃなくていい。来年の春まで、まだ時間はある。

 

親のためにしてあげたいことと、自分が続けられること。

 

そのあいだで、しばらく揺れていようと思う。

大葉は初心者でも簡単、と聞いていた。

 

だから今年、ベランダのプランターに植えてみた。

 

最初から、なんとなくおかしかった。

青々とした大葉のイメージとは違って、葉の色が黄緑っぽい。

水が足りないのかな、と思って水やりを増やしてみた。

でも、だんだん枯れてきた。

 

葉が縮れて、茶色くなって、穴が空いて。病気? 育て方が悪かった? 

気になって調べてみたら、ハダニかもしれない。

高温乾燥が続く夏に増えやすい害虫で、葉の汁を吸って色を抜いていくらしい。言われてみれば、思い当たる節もある……かも。

 

そして今、抜こうかどうか迷っているところ。

 

「簡単」って言葉を信じた自分が少し恥ずかしいような、でも植物を枯らしてしまった申し訳なさもあるような。

 

ベランダ菜園、うまくいくことばかりじゃない。それもまた、育ててみてわかることだと思っている。

 

来年はもう少し、うまくできるといいな。