妹「…Zzz」

男「……。」

妹「…にいさぁん」ゴロッ

男「…これでよし、と」カチャ

妹「…ん、にいさん?」

男「お、起きたか」

妹「なにしてるの?」

男「いや、早く起きちゃったからちょっとね」

妹「…5時」

男「ほら、まだ寝てていいぞ」

妹「にいさんも、はい入って」

男「そうだな、俺も寝るか…ってこら」

ギュー

妹「えへへ」

男「…なんなんだよ」

男「おはよう」

妹「おはよー」

ミャー

母「あら、みんな揃って早起きだこと」

妹「えへへ、今日はにいさんとデートなんだよ」

男「…はは」

母「クリスマスイブにデートなんて羨ましいわねー」

妹「でしょー」

母「そういえば去年のクリスマスも二人でデートしてたわね」

男「そんなことよく覚えてるな」

妹「あ、あれはデートじゃなくてお散歩だよ!」

母「ふーん、じゃあ今日は本当のデート?」

妹「そう、今日は本当!」

男「おいおい…」

男「じゃあそろそろ行くか?」

妹「あ、うん!」

母「何時頃に帰ってくる?」

男「うーん、分かんないな」

母「一応晩御飯の用意はしとくわよ」

男「分かった」

妹「にいさん、早くー」

男「…もう玄関にいるし」

母「…男」

男「ん?」

母「…ま、楽しんできなさいな」

男「…はい」

母「ほら、お花のお金」

男「ありがとう」

妹「あ、にいさん遅いよ」

男「悪い悪い」

妹「もう、ゆっくりしてると時間なくなっちゃうんだからね」

男「まだ朝だぞ?」

妹「それでも急ぐー」

男「はいはい」

妹「ね、ね、今日はどこに連れていってくれるの?」

男「まずは花屋だ」

妹「花屋?…あ、お墓参り?」

男「正解」

妹「久し振りだね」

男「そうだな…あ、そこの山茶花摘んでくれ」

妹「はぁい」

男「じゃあ、父さんに挨拶しに行くかな」

男「父さん、来たぞ」

妹「久し振りです、お父さん」

男「ごめんな、あまり来れなくて。遠いんだよここ」

妹「……。」

男「どした、妹?」

妹「あ…なに話していいか分からなくて」

男「気にすんなって。話したいこと話せよ」

妹「え、えっと…じゃあ」

男「……。」

妹「私、今日にいさんとデートするんだよー」

男「結局それか…」

妹「お父さん、なんて言ってるかな」

男「お前は誰の子だー、だってよ」

妹「ひ、ひどい!」

男「え…ああ、どうして知ってるんだ?」

妹「先輩から聞いたの、本当はみんなで遊ぶのが明日の予定だったんだよね」

男「そうだよ」

妹「…えへへ、デート楽しみ」

男「……。」

妹「早く寝ないとだね、にいさん?」

男「…そうだな」

妹「今日も一緒に寝ていい?」

男「ああ、もちろん」

妹「わー、やったぁ」

妹「ね、ね、もう寝る?にいさん」

男「風呂もご飯もまだだぞ?」

妹「ぶー…」

男「…でもまあ、どっちも明日の朝でいっか」

妹「え、ほんと?」

男「汗くさくても我慢しろよな」

妹「どれどれー」

ギュー

男「おいこら」

妹「んー、大丈夫、良いにおい」

男「…たく」

妹「ほらほら、ベッドに行こー」

男「くっついてたら動けないだろ」

妹「むー、じゃあ離れる」ギュー

男「言ってることとやってることが矛盾してるぞ…」

男「じゃあ電気消すぞ」

妹「うん」

パチッ

妹「はい、にいさん。布団に入って」

男「…ん」

妹「そんでもって、ぎゅー」ギュー

男「なんでだよ」

妹「暖めてあげてるんだよー」

男「もう十分暖かいよ」

妹「えへへ、私ずっとベッドでにいさんが帰ってくるの待ってたから」

男「なら暖かいはずだ」

妹「…にいさん、鼓動早いよ?」

男「…気のせいだよ」

妹「ふーん」ギュー

男「おいこら、やめろって」

妹「あーあ、こんなことならもっと早くにいさんと寝てたら良かったなー」

男「どういう意味だよ」

妹「えへへ、どういう意味でしょう」

男「…はあ、もう良いから寝るぞ」

妹「まだ早いよ」

男「じゃあ風呂入ってくる」

妹「あ、寝ます、寝ますから!」

男「…たく」

カリカリ

男「…ん、ミャーか?」

妹「この部屋に入りたがってるね」

男「よし」バサッ

妹「…あ、寒いー」

ガチャ

ミャー

男「なんだ、一緒に寝るのか?」

妹「ふふ、良いよー。ミャーもこっちにおいで」

ミャー

妹「きゃ、くすぐったいー…はい、にいさんも」

男「ん…ミャーも入ると狭いな」

妹「落ちないようにしないとね」

男「そうだな…じゃあ寝るか」

妹「はーい」

男「今日はちゃんと寝るんだぞ?」

妹「わ、分かってるよー」

男「じゃあ、おやすみ妹」

妹「おやすみ、にいさん」

妹友「あ、これは別にどうでも良いことなんですけど、ついでだから言っちゃいますね」

男「…ん?」

妹友「私、お兄ちゃんのことが好きです」

男「…え」

妹友「何度も言いませんよ…あ、でももう一度だけ言います」

妹友「私、お兄ちゃんのことが好きです」

男「……。」

妹友「こんなふつつか者でよければ、どうぞ一声おかけください」

妹友「それでは」

男「……。」

男「…ごめん、妹友ちゃん」

男「…さて、帰るかな」

ガチャ

男「ただいま」

母「おかえりなさい」

ミャー

男「ミャーもただいま、よしよし…母さん、妹は?」

母「二階よ」

男「了解」

母「かなりご立腹だったけど」

男「はは…今からなだめに行きます」

母「お兄ちゃんも大変ね」

男「代わる?」

母「代わって良いの?」

男「嫌だけど」

母「でしょうね」

男「あいつの兄は、俺の仕事」

ガチャ

男「…妹の部屋にいないと思ったら俺の部屋にいたのか」

妹「……。」

男「ほら、布団に潜ってないで出てこいよ」

妹「…デート、楽しかった?」

男「まあな」

妹「…そっか」

男「いやいや今のは冗談だけど!」

妹「……。」

男「妹?」

妹「…妹友と私の話をしてたんでしょ?」

男「……。」

妹「妹友、あんなからかい方しないもん。二人で話がしたかったからだって、分かってるよ」

男「…流石だな」

妹「分かるよ、それくらい…友達だもん」

男「…はは、なるほど」

妹「友達だからこそ、あんなことしてほしくなかった」

男「……。」

妹「隠し事はなしって言ったのに…にいさんと話がしたいなら、ちゃんとそう言ってくれればよかったのに」

男「違うよ、妹友ちゃんは妹のことを思って」

妹「…ちゃんと、妹友とさよならがしたかったのに」

男「……。」

妹「…こんな別れ方…嫌だよぉ」

男「…妹、妹友ちゃんはまた今度会う時に謝るって言ってたから」

妹「今度って、いつ?」

男「……。」

妹「私、あと一日で消えちゃうんだよ?分かってるでしょ?」

男「…妹」

妹「…ごめん、慰めようとしてくれてるのに」

男「いや、俺も…ごめん」

妹「……。」

男「…妹、あのさ」

妹「にいさん、明日一日私とデートしてくれるんだって?」