男「…傘をなくした?」

妹「うん、ごめんなさい…」

男「盗まれたのか?」

妹「違う、なくしたの」

男「…ん?」

妹「ごめんなさい」

男「あ、いや別に良いけどさ…だから今日あんなびしょびしょで帰ってきたのか」

妹「え、あ、それは別の理由なんだけど…」

男「…んー?」

妹「…そっちの方は気にしないでください」

男「まあ、風邪にだけ気をつけてくれれば俺は構わないけど」

妹「あ、にいさんに移すと大変だもんね…受験生だし」

男「いやいや普通に妹の心配だよ」

妹「…あ、ありがと//」

男「そこはありがとうじゃなくて気をつけますだろ」

男「家にはどうやって帰ってきたんだ?」

妹「妹友の傘に入れてもらっちゃった」

男「…妹友ちゃん、ほんとに優しい子だな」

妹「…む」

男「今度改めてお礼を言わないと」

妹「…に、にいさん」

男「なんだ?」

妹「にいさんも、い、妹友のことが…き、気になりますのでございまするか?」

男「…どこの国の言葉だそれは」

妹「け、敬語は苦手」

男「まずなんで敬語にしようとしたのか分からないけど」

男「…えっと、妹友ちゃんのことが気になるかどうか?」

妹「そ、そうそう」

男「…具体的にどういう質問なんだそれは」

妹「え、だ、だからそのー…」

男「だからその?」

妹「…す、好きになったりとか?」

男「……。」

妹「……。」

男「…はあ」

妹「え、なんでため息ッ!?」

男「ま、まあ妹の友達としてなら気になるけど」

妹「…あれ?」

男「あの子なら妹と仲良くしてくれるだろうなって思ってるから、心配もしてないし」

妹「好きになったりとかは?」

男「ないない」

妹「妹友すっごく可愛いのに?」

男「確かに可愛いとは思うよ」

妹「あれー?」

男「なんでそんな話になるんだよ」

妹「い、いやなんでもないけどさ」

男「……?」

妹「…ほ、ほんとに妹友のこと
なんとも思わないの?」

男「うん」

妹「……。」

男「…ん?」

妹「…あー、妹友は胸が大きいから」

男「断じて違う」

男「で、傘がなくなったって?」

妹「あ、うん…」

男「新しい傘、買いに行くか?」

妹「え?い、良いよー」

男「でも、明日も雨だぞ?」

妹「だって今も雨降ってるし…」
ザー…

妹友「羨ましいなー、お兄ちゃんと毎日一緒にいれるなんて」

妹「当たり前でしょー、兄妹なんだから」

妹友「私もお兄ちゃんの妹になろうかなー」

妹「え、な、なんで?」

妹友「好きだからに決まってるじゃんかー、妹になったらずっと一緒にいれるもんね」

妹「…す、好きっていうの、冗談じゃなかったの?」

妹友「本当に決まってるじゃん、私は妹に嘘つかないもん」

妹「え、えーッ!?」

妹友「よーし、そうと決まれば早速お兄ちゃんの妹になろー」

妹「だ、だだだ駄目だよ!にいさんは私だけのにいさんなんだからね!」

妹友「わー、大胆発言いただきましたー」

妹「え、え?」

妹友「にいさんは私だけのもの、だって。きゃー」

妹「そ、そんなこと言ってないでしょー!」

ザー…

妹友「わ、水飛ばすなー!」

妹「妹友が変なこと言うからだよ!」

妹友「言ったのは妹だけどね」

妹「わ、私は言ってないってばー!」

妹友「あとでお兄ちゃんに教えてあげよーっと」

妹「だ、ダメぇ!」

妹友「わー、来るなー」

妹「逃げるなー!」

妹友「雨、雨だから!走ると濡れるからー!」

妹「だったら止まれバカぁ!」

妹友「何もしないなら止まるー」

妹「そんなわけないでしょ!」

妹友「ですよねー」

ザー…

妹友「はあ…はあ…」

妹「はあ…はあ…もお、びしょびしょになったじゃんか」

妹友「妹が…はあ…追い掛けるからだよー」

妹「…追い掛けさせるようなこと…はあ…言うからー」

妹友「だから、言ったのは妹だよー」

妹「」妹友「わあ、ちょっと待った私が悪かったですー!」

妹「…もお」

妹友「はあ、助かったー」

妹「……。」

妹友「……。」

妹「…ぷっ」

妹友「…ぷっ」

妹「あははははー」

妹友「あははははー」

ザー…

妹友「もう、こんなにびしょびしょになって、お母さんに怒られちゃうよー」

妹「妹友のせいだからね」

妹友「はいはい、ごめんなさいー」

妹「じゃあ、また明日」

妹友「うん、ばいばーい…って、あれ?」

妹「ん、なになに?」

妹友「あれ、あの段ボール、なんだろー」

妹「…き、気にしないで帰ろうよー」

妹友「でもあれ、妹が今から通る道じゃん。気にならないー?」

妹「……。」

妹友「見てみようよ、ね?」

妹「…し、しょうがないなあ」

妹友「やったー」
男「…なにかは聞かないんだ」

妹友「それに気付くのは私の役目ですから」

妹友「私は、妹の友達だから」
男「そっか」

妹友「でも、一つ聞かせてください」

男「ん、なに?」

妹友「お兄ちゃんは、そんな妹を幸せに出来ますか?」

男「……。」

妹友「出来ますか?」

男「…するよ」

妹友「…そうですか」

男「自信はまだ、ないけれど」

妹友「良いです、お兄ちゃんがするって言ったんだから」

妹友「私は、それを信じます」

男「…ありがと」

妹友「…なにか私に出来ることは、ありますか?」

男「そうだね…」

男「妹と、たくさん思い出を作ってあげて」

妹友「そんなこと、言われなくても作りますよ」

妹友「いっぱい、いっぱい」

男「そっか」

妹友「…じゃあ、後は任せますから」

男「…おう」

妹友「…では、私はもう少し寝ますね」

妹友「あ、妹のもう片方の手は借ります」

男「どうぞ」

妹友「おやすみ、お兄ちゃん」

男「おやすみ、妹友さん」

妹友「あ、あと、私は呼び捨てで良いですよ」

男「呼び捨てはちょっと…じゃあ妹友ちゃんで」

妹友「やった、一歩前進です」

男「おやすみ、妹友ちゃん」

妹友「はい、おやすみなさい」

妹友「…Zzz」

男「……。」

男「…さて、どうやって時間を潰そうか」

男「……。」

妹「…ん」

男「……。」

妹「…にいさぁん…えへへ」ギュ

男「……。」

男「…そうだな、妹のことを考えよう」

男「寝顔でも見ながら、ゆっくりと」

男「今までのことと、これからのこと」

男「時間は、たっぷり、あるんだから」

私を、忘れないで

男「……。」

………

…………

ザー…

妹「うー、雨ー…嫌だー…」

妹友「しょうがないよー、季節の変わり目は天気が不安定になりやすいから」

妹「でも雨は嫌いー」

妹友「なんでー?」

妹「気分までジメジメしちゃうもん」

妹友「あはは、妹らしいねー」

妹友「でも、そのお気に入りの傘が使えるから良いじゃんかー」

妹「……。」

妹友「…ん?」

妹「…えへへ、そうだね。にいさんと選んだ傘だもんねー」

妹友「…妹、最近お兄ちゃんに対する気持ちがオープンになってきてるね」

妹「だ、だってもう妹友に隠してもしょうがないもん…」

秋のある日

ザー…

妹友「羨ましいなー、お兄ちゃんと毎日一緒にいれるなんて」