タッタッタッ…

妹「…あ、いたー」

妹「よしよし、濡れてないかい?寒いよね?よく頑張ったね」

妹「…よし!」

ヌギッ

男友「わっ!」

女「わあっ!」

妹「ひゃあっ!」

男友「あ、すいませんびっくりしちゃって…」

女「ご、ごめんなさい…って、妹ちゃん?」

妹「…男友先輩に女先輩?」

男友「な、なんだー妹さんか…」

女「道端で急に女の子が服を脱ぎだしたからびっくりしたよ!」

妹「あ、あははー…」

女「こんな雨の中で何やってたのー?」

妹「え、というか先輩たちは二人でどうしたんですか?」

男友「そんなの勿論デートに決まって――」ゴスッ

女「……。」

男友「…僕、今嘘をつきました」

女「分かればよろしい」

妹「…えっと、本当は?」

女「このバカが、このままじゃ大学に落ちるーって泣きついてきたから勉強教えてたのよ」

妹「…へ、へぇ」

男友「どうかそんな目で見るのはやめて下さい」

妹「勉強のことならにいさんに聞けば良いじゃないですか」

男友「男にも聞いたんだけど…」

妹「はい」

女「『理解が出来ないやつに教える気はない』だっけ」

男友「……。」

妹「…先輩、よくこの高校に受かりましたね」

男友「昔は出来る子だった」

妹「…ま、まあ女先輩に任せれば大丈夫ですよ」

女「知ってる?妹」

妹「はい、なんでしょう?」

女「この人1月から12月まで英語で言えないのよ」

妹「……。」

女「ついたキャッチフレーズが、『こいつは誰にも止められない』」

妹「……。」

男友「あ、その視線は甘んじて受け止めます」

女「で、妹ちゃんは何をしてたの?」

妹「あ、いえ…この子が寒そうだったので」

男友「ん?…あー」

女「わ、可愛いー!」

妹「妹友と見付けたんです」

男友「捨てられちゃってるんだな」

女「かわいそう…」

妹「そうなんです…」

男友「で、脱いで服をあげようとしてたのか?」

妹「このセーター、この子にあげるために着てきたので」

女「健気な妹ちゃんも可愛いー!」ギュ

妹「わ、わ、離してくださいー!」

男友「雨の中でなにやってんだ…」

男友「もしかしてこの傘も?」

妹「…あ、はい」

女「妹ちゃん優しいねー」

妹「いえ、私のせいでにいさんに新しい傘を買わせちゃったから…」

女「男君ならそれくらい許してくれるでしょ」
妹「でも、お母さんが…」

男「良いから」

妹「…はいな」

妹「えへへー」

男「気にいった傘があって良かったな」

妹「あ、うん。それも良かったけどー」

男「それも?」

妹「な、なんでもないよー」

男「妹、なんか隠しごと多くないかー?」

妹「そ、そんなことないよ?」

男「…ふーん」

妹「あー、機嫌悪くしないでよ」

男「いや、悪くはしてないけど。妹の機嫌が良い理由くらい教えてくれても良いんじゃないかなー」

妹「……。」

男「ん?」

妹「…に、にいさんと散歩出来たから」

男「…あー」

妹「な、なに言わせてるのさ、バカぁ!」

男「よし、じゃあ帰るぞー」

妹「はいな!…じゃなくて」

男「ん?」

妹「私、ちょっと行くところが…」

男「え、どこ?」

妹「…妹友のところ?」

男「いや聞かれても」

妹「そう、妹友のところ!」

男「こんな時間に何をしに行くんだ?」

妹「……。」

男「……。」

妹「…か、買った傘を自慢しに行くの!」

男「答えるまでえらく間が空いたな…」

男「こんな時間に買った傘を自慢しに行くのか?」

妹「う、うん」

男「家まで行って?」

妹「…うん」

男「明日学校でも会えるのに?」

妹「……。」

妹「り、理屈っぽい男子は嫌われるんだぞ!」

男「…え?なんで俺が責められてるの?」

妹「…あ!わ、私は別ににいさんのこと嫌いじゃないからね!」

男「…まあ良いや」

男「晩御飯までには帰って来いよ?」

妹「はーい」

男「夜道だからな、人に気をつけろよ?」

妹「分かってるよー」

男「じゃあ俺は先に帰ってるからな」

妹「にいさん、傘ありがと」

男「おう」

妹「それと、勉強の邪魔してごめんなさい」

男「いい気分転換になってるから大丈夫だよ」

妹「…えへへ、にいさんは優しいね」

男「お兄ちゃんってのは妹には優しくするもんだ」

妹「嘘だー」

男「ほら、良いから早く行けよ」

妹「あ、うん。じゃあまた後でね、にいさん」

男「ほんとに変な人とか気をつけろよ?」

妹「大丈夫だって」

男「俺も付いていこうか?」

妹「い、良いって!」

男「そっか」

妹「じゃ、じゃあねッ!」

タッタッタッ

男「おい、雨の中走るとまたビショビショになるぞー」

男「…たく」

男「…いったい何をしてるんだ?」
男「俺の傘に入っていけよ」

妹「え?」

男「ん?」

妹「…あ、相合い傘ー」ボソッ

男「なんだって?」

妹「な、なんでもない!」

男「で、どうする?」

妹「…い、行くー」

コンコン

母「入るわよ」

男「ん、どうぞー」

ガチャ

母「あら、妹もいるの?」

妹「うん」

母「お兄ちゃんの勉強の邪魔しちゃ駄目よ」

妹「…はーい」

男「いや、ちょうど今から休憩するところだよ」

母「あら、そうなの?」

男「妹とちょっと散歩してくるよ」

妹「…えへへ」

母「散歩?」

男「妹と傘を買いに行ってくるよ」

母「傘?私が代わりに買ってこようか?」

男「良いよ、勉強の気分転換になるし」

妹「にいさん…今日私と話してばっかりだったのに」ボソッ

母「そう、じゃあ暖かい格好をして行きなさいよ」

男「ん?」

母「今日は冷え込むってニュースでやってたから」

妹「今日、寒くなるの?」

母「そう、それに雨だから風邪を引かないようにしなさいよ」

男「分かったよ」

妹「……。」

妹「お母さん、なにかモコモコしてるものある?」

母「モコモコ?」

男「モコモコ?」

妹「うん、暖かくなるものー」

母「着て行くってこと?私のお古のセーターで良いならあるわよ」

妹「あ、えっと…そうじゃなくて」

母「…なに?」

妹「汚れても良いものが欲しいなぁ…」

男「……?」

母「ん?別に私が着れなくなったセーターだから、汚しても良いわよ?」

男「母さん、太ったの?」

母「男、今日、晩飯抜き」

男「なにゆえっ!?」

妹「セーター、汚しても良いの?」

母「構わないわよ」

妹「じゃあ、着て行くー」

男「妹、なにか汚れる用事でもあるのか?」

妹「あ、えーっと…あははー」

男「……?」

母「ほら、行くなら早く行きなさい。どんどん寒くなるわよ」

妹「は、はーい」

母「妹、傘が無いの?」

妹「あ…うん、なくしちゃって」

母「じゃあ私の傘を使って行きなさいね」

妹「え?」

母「え?」

妹「…はいな」

母「……?」

ザー…

男「降ってるなー」

妹「……。」

男「どうかしたか?」

妹「…え?あ、ごめん、考えごとしちゃってた」

男「大丈夫か?」

妹「うん、行こ?にいさん」

男「大丈夫なら良いけど…じゃあ行くか」

バサッ

男「…ん」

妹「え?」

男「入れよ」