男「きっと妹が世話してるのを見て飼ってあげることにしたんじゃないかな」

妹「だと嬉しいな」

男「…さてと、帰るか」

妹「うん」

男「飼えなくて残念だったな」

妹「ううん、これで良かったんだよ」

男「そっか」

妹「えへへ、やっぱり飼いたかったけどね」

男「……。」

妹友「そっか、残念だったねー」

妹「でもこれで良かったと思うよ」

妹友「どうして?」

妹「ネコなんて飼っちゃったら、きっと私かわいがり過ぎちゃうもん」

妹友「あはは、そうかもね」

妹「やっぱりネコは道端でちょっとだけ遊ぶのが一番良いよ」

妹友「…妹、また嘘ついたー」

妹「…あ、あれ、妹友にはなんでばれちゃうのかな」

妹友「ちっちっち、私をなめてもらっちゃ困りますぜー」

妹「うー、参りました」

妹友「で、本音は?」

妹「…ネコが飼えたら、楽しいだろうなー」

妹友「あはは、素直になるのが一番だよ」

妹「…あはは、そうだねー」

妹友「あ、分かれ道に着いちゃったね」

妹「そうだねー…じゃあ妹友、また明日ね」

妹友「うん」

妹「ばいばーい」

妹友「…妹ー」

妹「ん、なぁにー?」

妹友「素直になった妹にプレゼントがあるよー」

妹「…え?」

妹友「自分の部屋に行ってみなー」

妹「……!」

タッタッタッ

妹友「…ふふ、ばいばーい」ヒラヒラ

ガチャ

妹「ただいまー!」

母「おかえりなさい」

男「おかえり」

母「今外は寒い?妹」

妹「走ってきたから分からなーい」

トットットッ

男「…妹友ちゃんから聞いたのかな」

母「ふふ、みたいね」

妹「もしかして…もしかしてー」

ミャー

妹「今なんか聞こえたー!」

男「…階段くらい静かに上がれないのか」

妹「……。」

男「ん、なに部屋の前で固まってるんだ?」

妹「にいさん、このドア開けていいの?」

男「開けていいもなにも、お前の部屋だろ。好きにしろよ」

妹「う、うん、好きにするー」

妹「……。」

ミャー

妹「また聞こえたー!」

男「良いから早く開けろよ…」

妹「じ、じゃあいくよー…」ガチャ

妹「……。」

…ミャー

妹「…わ、わー…ネコだ、ほんとにネコだー!」ギュー

男「お、おい…ほどほどになー」

妹「わー!暖かいー!柔らかいー!」

ミ、ミャー…

男「…はは」
男「妹はネコが飼いたいんだろ?」

妹「…うん」

男「だったら変な遠慮はするなって言ってるだろ」

妹「だって…」

男「だってもなにもないよ」

男「あとどれくらいかなんて関係ない、いつ終わるかなんて関係ない」

男「妹はずっと俺の妹なんだから…遠慮するなって、何度言わせる気だよ」

妹「うー…」

男「…で、俺は今から何をすれば良いんだ?」

妹「……。」

男「お母さんの説得?」

妹「…ううん、しなくて良い」

男「…そっか」

妹「説得はね、私がする」

妹「私ね、ネコ…飼いたいから、私がお母さんに頼む」

男「…妹」

妹「にいさん、もしお母さんが許してくれたら…お世話を一緒にお願いしていい?」

男「もちろん」

妹「えへへ、ありがと」

男「母さんが許してくれたら、すぐにネコを迎えに行ってやろうな」

妹「うん!」

男「妹、行くぞ」

妹「待って、クツがはけないー」

男「急がなくて良いから」

妹「お、おまたせ」

男「ん、まだ雨降ってるなー」

妹「そうだね」

バサッ

男「…と、俺の傘に入ってくか?」

妹「え、はいるー…じゃなくて」

妹「は、はいらないー…」

男「良いのか?」

妹「急いで迎えに行きたいの!」

男「急ぐって、まさか」

妹「行くよ、にいさん」タッタッタッ

男「…しょうがないな」

男「つ、着いたぁ…」

男「…はあ…はあ…そういえば、妹は足が速いんだった」」

妹「……。」

男「ん、妹どした?」

妹「…これ」

男「…ネコ、いなくなってるな」

妹「この手紙の人がネコを拾ってくれたみたい」

男「この手紙はどこに?」

妹「ネコがいた場所だよ」

男「…俺らが家に帰ってる間にってことか」ピラッ
『この子は私が大切に育てます』

男「…大丈夫そうだな」

妹「……。」

男「…妹」

妹「うん、この方が良かったよね」

男「…まあ、飼い主が見つかって良かったよ」

妹「……。」

男「そんなに飼いたかったか?」

妹「え、な、なんで?」

男「じっと段ボール見てるし」

妹「え、違う…これは、そのー」

男「そのー?」

妹「…飼いたかったよー」

男「よしよし」

妹「な、なでるなー!」

男「…ん?妹、もう一枚紙があるぞ」

妹「え…あ、ほんとだ」ペラッ
『追伸、傘とセーターをありがとうね、可愛いお嬢ちゃん』
男「…見られてたみたいだな」

妹「だねー」
妹「…だって、飼うことになったら私のせいでにいさん達に迷惑かけちゃうことになるし」

男「迷惑?」

妹「うん…」

男「……。」

ペシッ

妹「あうっ」

男「お前、なに今更家族に向かって遠慮なんかしてるんだよ」

妹「……。」

男「あほか、どこの世界に飼っても良いよって言われて遠慮する妹がいるんだよ」

妹「……。」

男「妹は家族ってものを分かってないな、兄妹というものが理解出来てない」

男「良いか、よく聞けよ?」

男「昔から、妹はわがままを言うもの、兄はそれに付き合うものだって決まってるんだから」

妹「…そんなの聞いたことない」

男「じゃあ今覚えれば良い」

妹「……。」

男「だから、お前は遠慮なんかしちゃ駄目なんだからな。うちの家族なら、俺の妹なら、いらない気遣いなんかするな」

妹「……。」

男「今度そんなことしたら、また説教だからな、分かってるな?」

妹「……。」

男「返事は?」

妹「…はい」

男「よし…ほら」

ナデナデ

妹「ふあ…な、なに?」

男「叩いてごめんな、痛かっただろ」

妹「力なんて全然いれてないくせに…」

男「でも、叩かれたら心が痛くなるだろ?」

妹「…にいさん、たまに臭いこと言うよね」

男「うるせー」

妹「それに、叩いて傷ついてるのはにいさんの方だし」

男「妹を叩いて心を傷めないやつなんて兄じゃないよ」

妹「ほらまたー」

男「なんだよ、本心だぞ?」

妹「…知ってる」

男「よし、じゃあ兄としての役目を果たしに行くかなー」

妹「え?」

男「母さんにネコを飼うことを交渉しに」

妹「……。」

男「ま、すぐ許してくれるだろうけど」

妹「…行かなくて良いよ、にいさん」

男「ん、なんでだ?」

妹「やっぱり、ネコは飼わない方がいいもん」

男「…余計なことは考えなくても良いんだぞ?」

妹「ううん、考える…というか、にいさんは誤解してるけど」

男「誤解?」

妹「私が考えてるのは…私がいなくなった後のこと」

男「……。」

妹「私の為にネコを飼っても、私はすぐにいなくなっちゃうから」

妹「私がいなくなった後は、やっぱりにいさん達に迷惑がかかっちゃうもん」

男「……。」

妹「なのに、飼いたいなんて…言えないよ」

男「……。」

妹「……。」

男「…え、なに?もう一回同じこと説教しないといけないのか?」

妹「え?」