ガチャ

妹「…んー」

男「まだ寝てるのかよ…目覚まし嫌いだからって、つけないのはどうかと思うぞ」

男「ほら、朝だぞ妹」

妹「…ん」

男「遅刻するぞー」

妹「…ふあ」

男「起きたか?」

妹「…にいさん?」

男「おはよう、妹」

妹「……。」

男「…あれ?」

男「妹、おはよう」

妹「…おはよー」

男「お、起きてた」

妹「…起こしてー」

男「へ?」

妹「手、引っ張ってー」

男「しょうがないな…ほら、手」

妹「……。」

グイッ

男「…え?」

ポフッ

男「…妹?」

妹「…えへへ、一緒にもう少し寝てようよー」

男「……。」

妹「私、まだ眠いよー」

男「……。」

妹「あ、にいさんもお布団の中に入る?暖かいよー」

男「…たく、なに寝ぼけてんだよ」

バサッ

妹「あ、寒い…」

男「終業式に遅刻するぞ」

妹「…むー、寝ぼけてなんかないもん」

男「ほら、ちゃんと着替えてから下に来いよ」

妹「……。」

男「返事は?」

妹「…はぁい」

男「ごちそうさま」

母「妹遅いわね」

男「髪が長いからな、女の子ってのはめんどくさいもんだ」

トットットッ

母「ふふ、来たわね」

妹「おはよー」

母「おはよう、妹」

男「妹、ボタン付け間違えてるぞ」

妹「え…わ、わー!」

男「はは、じゃあ先行っとくぞ」

妹「え、にいさん、一緒に行こうよー」

男「…ん?友達にからかわれるから嫌だって言ってたのに」

妹「いいの、一緒に行こ?」

男「じゃあ早くご飯食べろ」

妹「あ、食べる、食べますから!」

男「はよー」

男友「お、おはよう」

女「おはよー、今日から冬休みだよ、男君!」

男「え、分かってるけど」

女「楽しみだねー」

男友「楽しみだなー」

男「…受験生の自覚がないのかお前らは」

女「でねでね、遊びの予定なんだけどさ」

男「…ねえ、聞いてる?」

女「えっとね、男君は24日とか空いてる?」

男「24日?」

男友「はいはい、俺は空いてますよ!」

女「うん24日、空いてる?」

男友「…無視って一番辛いんだぞ?」

男「…24日はちょっと」

女「え、そうなの?」
妹『私はサンタからあなたへのプレゼントなの』

妹『これからずっと一緒にいるんだから、ちゃんと私を大事にして』

妹『勘違いしないでよね、誰が好き好んでにいさんと一緒になんか――』

妹『約束したとおりに私のこと、だ、大事にしてくれてるし…』

妹『私の好きな食べ物って知ってる?』

妹『全部「作り物」の妹だもんね』

妹『あはは、こんなこと言われても困るよね』

妹『にいさーん?』 

妹『わたし、しばらく受験生になります』

妹『私、絶対にいさんと同じ高校に行くから』

妹『…手、握っていい?』

妹『変なこと言おうとしちゃった…熱があるからかな』

妹『いやだぁ、落ちてるもんー』

妹『にいさん、私受かってた!受かってたよー!』

男「……。」

妹『…一緒に、お土産見よう?』

妹『持ってる二人が一緒にいないと、この絵が完成しなくなっちゃうんだ』

妹『私とにいさんの、思い出だから』

妹『…私ね、この旅行のこと、絶対に忘れないよ』

妹『…あーあ、一年なんてあっという間だね』

妹『分かるよ、だって私、にいさんの妹だもん』

妹『私、にいさんの妹で良かった』

妹『…えへへ、にいさんは優しいね』

妹『私が考えてるのは…私がいなくなった後のこと』

妹『私はすぐにいなくなっちゃうから』

妹『私がいなくなった後は、やっぱりにいさん達に迷惑がかかっちゃうもん』

妹『ううん、これで良かったんだよ』

妹『…にいさん、ねえ、にいさん』

妹『ひとつだけ、言いたいことがあるんだ…それはね…』

私を、忘れないで

ピピピピピピピピ

男「……。」

ピピピピピピピピ

男「……。」

ピピピピピピピピ

男「……。」

ピピピピピピ カチッ

男「……。」

男「……。」

男「…12月22日」

男「…そっか」

男「今日から冬休みか」

男「おはよう」

母「おはよう、朝ご飯はパンで良い?」

男「いいよ」

ミャー

男「ミャーも、おはよう」

スリスリ

男「はは、くすぐったいな、やめろって」

母「すっかり男に懐いたわね」

男「まあ俺は餌係だからな…妹は?」

母「まだ寝てるみたい」

男「なんだ、夜更かしでもしたのか?」

母「起こしてきて、男」

男「はいはい」

コンコン

男「妹、入るぞ」
母「妹の反応はどう?」

男「見ての通りだよ」

妹「妹友、そうだ妹友に早く見せないと!で、電話ー」

男「…たく、そんなに嬉しいならなんで余計な遠慮なんてしようとするんだよ」

母「女心は複雑なのよ」

男「え、そういう話なの?」

母「そういう話なの」

母「お金はどれくらいかかった?」

男「…ん」

母「…あらら」

男「カンパよろしく」

母「しょうがないわね」

男「まったく、兄ってのも疲れるな」

母「兄は妹のわがままに付き合うもの、だっけ」

男「…聞いてたのかよ」

母「え、なんの話?」

男「…まあ良いけどな」

妹「にいさんにいさん」

男「ん、なんだ?」

妹「ありがとうね!」

男「…こうやって妹の笑顔も見れたし」

妹「ね、ね、にいさんも触らない?」

男「俺はいいから、好きなだけ可愛がってやれよ」

妹「私はにいさんと遊びたいのー」

男「…はいはい」

母「…ほんとに良かったわ」

男「え?」

母「妹、最近暗い顔をするときが多かったから」

男「……。」

妹「きゃ、なめられたー!」

男「…ま、いいじゃん、そんなこと考えなくたって」

妹「にいさん、はやくー」

男「今、妹が笑ってるんだから」

母「そうねー」

ピンポーン

妹「妹友!」

タッタッタッ

妹友「えへへ、ネコだよ、ネコー」

男「いつもこうやって笑ってろよな、まったく」

母「それを手伝うのがお兄ちゃんの役目なんでしょ?」

男「…はは」

母「ほら、今日は勉強なんてしないで妹たちに付き合ってあげなさい」

男「受験生に言う台詞か、それ」

母「何か異論でも?」

男「ないけどさ」

妹「名前、名前どうしよー!」

男「…そうだな、妹が笑っていられるなら」

男「そんな一日も、悪くない」