怪物 | マットガファリによろしく

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凄い映画を観ました。

ちょっと凄過ぎて、オレのクソつまんねーブログに書くのが申し訳ないくらいです。


真実なんて物は、一方の意見を聞いても何も解らなかったりします。

子供を愛する母親の視点。

自らの理想と正義を全うする教師の視点。

そして、子供たちの視点…


過去作では、ずっと自ら脚本を書いて来た是枝裕和監督。

今作の脚本は、人気脚本家の坂元裕二さんです。

とにかく話が面白いし、構成が素晴らしい。

納得のカンヌ脚本賞です。


雑居ビルの火災から、物語が始まります。

中心人物たちが、様々な場所から、この火災を見つめます。

物語の分岐点になっているので、ひとつ間違えれば複雑になりそうな物語が、スンナリと入って来ます。

そして、安藤サクラさんの緩急の付けた演技に、引き込まれます。

安藤サクラさんの視点で見せるので、彼女だけが真面な人間に見えます。

視点を永山瑛太さんに変える事によって、同じ事実から違う真実を導き出します。

ちょっと、恐ろしいくらいに、素晴らしい演出だと思います。


ちなみに…

安藤サクラさんと野呂佳代さんの共演は、偶然か?確信犯か?

ドラマ「ブラッシュアップライフ」やん(笑)

野呂佳代さんは、永山瑛太さんの中学校の後輩でもあるそうです。


子役たちの名演は、言うまでもありません。

眩しいくらいの熱演に、ずっと観ていたいくらいです。

彼らの魅力を引き出す事こそ、是枝監督の得意技です。


「怪物誰だ?」

怪物と言うタイトルは、ある意味ミスリードに感じました。

ただ、劇中で回収しているので、この考えは間違っているかもしれません。

子役を含めて、素晴らしい役者さんたちの演技が光ります。

その中でも、校長先生を演じた田中裕子さんの怪演に釘付けになりました。

まるで、無機質なお飾りだけの校長先生!?

ポロリと呟く本音が、心に刺さります。

ある意味、彼女こそが、怪物なのかもしれません。


三者三様の視点で、導き出す真実。

そして、真実を明かさない事に寄って、観る者の感性に問い掛けます。

このさじ加減が、絶妙なバランスで描かれています。


街の雑踏や生活音。

吹奏楽器の音色や交錯する子供たちの声。

映画音楽は、控えめに最小限に留めている印象があります。

最小限でありながら、静かに琴線に触れて来るピアノの旋律。

解ってはいましたが、改めて素晴らしい音色が、この作品を彩っています。

このエンドロールは、さすがに席を立てませんでした。