住所の不一致があっても滅失登記は申請可能 | 土地家屋調査士受験!カネコのちょっと役立つハナシ

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二年くらい前,都内で開業している調査士から質問されたことがある。

「地目変更登記を申請したんですよ。所有権の登記名義人の住所が現住所と相違しているので,変更証明書を添付して申請したら,登記官から,住所の変更の登記をした後で地目変更登記を申請してほしいと言われたんです。これっておかしいですよね。」と。

「一応,条文では地目の変更の登記は所有権の登記名義人から申請すると言っているから,所有権の登記名義人の住所が現住所と相違する場合は,登記記録を新住所にしてから申請するのが原則なんだよ。変更証明書を添付して旧住所のままで申請してもよいとする取扱ができるのをハッキリと先例で示しているのは合体による登記等だけだと思う。だから,登記官の言うことを一概におかしいとは言えないと思うよ。」

「ええ,そうなんですか。他の登記所ではそんなこと言われなかったのになあ。」

「そうだよな。登記識別情報が通知される登記以外は変更証明書を添付すれば申請を受理してくれるのが一般的な実務の取扱だと聞いているから,認めてくれてもいいと思うけどね。登記研究という雑誌の見解だけど,分筆の登記について,変更証明書を添付して申請して差し支えないとする見解ある。合体による登記等の質疑応答と,登記研究の雑誌の見解を見せて,説得してみたらどうだ。それでも,登記官がイエスと言わないなら,住所の変更の登記をしてから,地目の変更の登記を申請するしかないよね。登記官が言っていることは間違ってはいないから,仕方ないよね。」

 

【平成5年主席登記官会同における質疑~】

Q 合体前の建物の所有権登記名義人の表示等に変更がある場合には,合体による建物の登記申請の前提として,その登記名義人の表示変更の登記をする必要があるか?

A 合体前の建物に係る所有権登記名義人の表示変更の登記は必要ない。この場合には,当該登記名義人の住所証明書等の変更証明書を申請書に添付する。

 

【登記研究581号~】

住所の変更を証する書面を添付してなされた分筆登記の申請の受否(登研581号)

○要旨 表題部所有者又は所有権の登記名義人の住所の変更を証する書面を添付して分筆の登記の申請があった場合、便宜受理して差し支えない。

▽問 住所移転により、表題部所有者又は所有権の登記名義人の住所に変更が生じている土地の分筆の登記をする場合には、その前提として、登記名義人の表示の変更の登記をするのが原則であると考えますが、変更を証する書面を添付して直接分筆の登記の申請があった場合、便宜、受理して差し支えないものと考えますがいかがでしょうか。

◇答 御意見のとおりと考えます。

 

令和2年の本試験第22問の滅失登記の申請も,所有権の登記名義人の住所が現住所と相違するので変更証明書を添付した申請が認められるのかが問題となる。

上記に示した合体による登記等のようなズバリの先例や規定は無いと思うが,実務でまかり通っている取扱だし,法務省のHPで,一般の方向けの滅失登記の申請書作成例が示されているが,その申請書の申請人の書き方について,次のような注書きがある。

(注)申請人として,登記記録(登記事項証明書)の所有権に関する事項欄(甲区といいます。)に記録されている現在の登記名義人の住所と氏名又は名称(法人の場合は代表者の氏名)を記載します。甲区がない登記記録の場合は,登記記録の表題部の末尾に記録されている所有者の住所と氏名又は名称を記載します。氏名(法人の場合は代表者の氏名)の下に認印を押してください。登記記録上の所有者の住所が,現在の住所と一致していない場合は,登記記録上の住所から現在の住所までの異動の経過が分かる,住民票の写し,戸籍の附票の写し等を申請書に添付してください。不明な点は,市町村役場又は登記所にお問い合わせください。

 

これを根拠にして,本問の滅失の登記も,変更証明書を添付して申請できるということなのだろうか。

なお,このHPの滅失登記の申請書の作成例には,建物滅失証明書を添付書類として掲げている。

建物滅失証明書は実務では要求される書面だが,法定添付情報ではないので,試験の解答としては書く必要はない。書かなかったとしても,減点される理由は無いよねということだ。変更証明書も同様に,滅失登記の法定添付情報ではない。よって,書かなかったとしても,減点される理由はないよね。

 

なお,変更証明書を住所証明書と書くのはNG。

住所証明書は表題登記や所有者更正登記等,初めて登記記録に所有者として記録される者の住所の確認の他にその者の実在性を担保するために提供する添付書面なので,変更証明書とは全く別ものだ。住所変更証明書と住所証明書を混同してはいけない。