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聖子さんが所有権の登記名義人である甲土地の東側の一部を明菜さんが買い受けた。
登記された一筆の土地の一部の売買。
「実は筆界についてお隣さんともめています。筆界特定の申請をして筆界を確認した後，分筆の登記をして，明菜さんが買ってくれたところを明菜さんの名義にする所有権移転登記をします。」と売主の聖子さん。
「聖子さんを信頼しているわ。よろしくお願いします。」と買主の明菜さん。
「筆界特定の手続は，最終の結果が出るまで平均で６ヶ月かかるというから，しばらくお待たせしますけど。渚のバルコニーで待ってて。」と，さりげなく自らのヒット曲をアピールする聖子さん。
「ええ，大丈夫よ。待ってるわ。」と明菜さん。
この案件では，次の申請手続が必要になる。
甲土地の筆界特定（対象土地の所有権の登記名義人である聖子さんから申請する）。
甲土地の分筆の登記（所有権の登記名義人である聖子さんから申請する）。
分筆された土地について明菜さん名義にする所有権移転登記（明菜さんが登記権利者，聖子さんが登記義務者となって共同で申請する）。
何故分筆の前に筆界特定の申請が必要となるのかはテキストで確認を。筆界特定をせずに分筆の登記を申請してしまうと，１１号却下になってまうからだ。
→不動産登記総論Ｐ１２５「⑪表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が登記官の実地調査の結果と合致しないとき」の欄で確認を。
売買の日から半年以上が経ったけど，聖子さんからは何の連絡もない。
渚のバルコニーで待ちくたびれる明菜さん。
「まだ終わらないの？」と聖子さんに訊いてみる。
「まだなのよ。」と聖子さん。
１０ヶ月が経ったけど，聖子さんからは何の連絡もない。
渚のバルコニーで待ちくたびれる明菜さん。
「まだ終わらないの？」と聖子さんに訊いてみる。
「まだなのよ。」と聖子さん。
１年が経ったけど，聖子さんからは何の連絡もない。
渚のバルコニーで待ちくたびれる明菜さん。
「まだ終わらないの？」と聖子さんに訊いてみる。
「まだなのよ。」と聖子さん。
そのうちに，「じれったい，じれったい」と思わず自らのヒット曲を歌い始める明菜さんであった・・・
明菜さんが聖子さんの協力を得ることなく，一人で手続をするには？
問１ 甲土地の筆界特定は，明菜さんからも申請できる？
答え 一筆の土地の一部の所有権を取得した者も筆界特定を申請できるとされているから，明菜さんからの申請も可能だ。
問２ 明菜さんは聖子さんを代位して筆界特定の申請をすることはできる？
答え できない。規定が無いので，筆界特定の代位申請は不可。
ちなみに，下記の過去問のように，一筆の土地の全部を買い受けた場合には，代位申請もできないし，全部を買い受けた買主には申請適格も無いので，判決をとって所有権の登記をして自己の名義にした後に，筆界特定の申請をするしかない。
（筆界特定土地家屋調査士法テキストＰ１２～）
過去問Ｈ１９－９・ウ
所有権登記名義人から土地の全部を譲り受けた者も，代位原因を証する情報を提供すれば，所有権登記名義人に代位して筆界特定の申請をすることができる。→誤
明菜さんが筆界特定の申請をした後は，聖子さんを代位して甲土地の分筆の登記を申請し，その後，判決を得て自己の名義にする所有権移転登記を申請することとなる。
問３ 上記の分筆の登記の申請情報の内容とする代位原因を書け？
答え 書けるよね。書けないなら不合格だ。書けない者は講義又はテキストを確認せよ。
→不動産登記総論Ｐ８７～８９で確認を。
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