喜多流の『伯母捨』の後場の老女の霊の登場の仕方は二通りあります。 笛・小鼓・大鼓だけで奏す「一声(いっせい)」と、太鼓が加わる「出端(では)」ですが、どちらを選択するかは喜多流ではシテの自由です。 


 平成6年(1994年)180年振りに『伯母捨』を復曲した亡父・粟谷菊生(当時72歳)は出端で勤めました。 「惣ちゃん(二十二代・金春惣右衛門国長、当時70歳)が打ってくれるならば、是非出端で願いたい!」 と、惣右衛門先生に話すと、惣右衛門先生は、その頃より長時間の正座が難しかったため、前場を代わりの方(桜井均氏)が座わるのを条件にご承諾されました。 


 あの時の出端や序の舞の太鼓の音色と位取りの素晴らしさ、今でも私の脳裏に鳴り響いていますので、私も出端で勤めます。 


 当日ご出演の笛・松田弘之氏 小鼓・鵜澤洋太郎氏 大鼓・亀井広忠氏、そして太鼓の小寺真佐人氏のご協力を得て、あちらの世界から現れる老女の霊をそれらしく演じたいと稽古に励んでおります。 

 ご来場をお待ち申し上げております。 


[お申込み先] 粟谷能の会 粟谷明生 

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