『伯母捨』の思い出話 その3
亡父菊生は平成6年10月9日「第56回 粟谷能の会」で『伯母捨』を180年振りに復曲しました。72歳でした。
当時、私(39歳)は地謡の前列で、地謡全員が地謡座に座ると、笛の故一噌仙幸先生が、突然静かにアシラヒ笛を吹かれ驚きました。
その音色は秋の夜の中秋の名月を想像し、またこれから始まる秘曲『伯母捨』の位取り、雰囲気作りの効果満点の演出でした。
国立能楽堂の舞台と見所の空気が一瞬キュッと引き締まった、あの衝撃的な瞬間を体験出来たのは貴重な経験で、今も心に響き残っています。
暴露しますが、実は『伯母捨』の地謡を勤めた喜多流能楽師全員、あのアシラヒ笛が有る事を知りませんでした。が、しかし今ではあのアシラヒ笛を聞けた幸せを皆、喜んでいます。
あれから、32年が経ち、10回目の9人目の『伯母捨』を勤める私には色々な情報があり、とても恵まれた環境のもと勤める事が出来ます。
先人達の『伯母捨』への試みを、明生風に味付けして、粟谷明生の『伯母捨』を勤めたいと稽古に励んでおります。
亡父菊生の『伯母捨』の三役の出演者は
下記の方々です。
シテ 故粟谷菊生
脇 故宝生 閑
脇連 宝生欣哉
脇連 故殿田謙吉
間 野村 萬
笛 故一噌仙幸
小鼓 故横山貴俊
大鼓 故亀井忠雄
太鼓 故金春惣右衛門
皆様のご来場をお待ち申し上げております。
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