故・松田勇作を見たことがある。
渋谷警察署前で探偵物語のロケをしており、撮影を終えた彼が被っていた帽子をクシャクシャにして、歩道橋を渡りこちらへ歩いて来た。
歩道橋で俺とすれ違った。
長身で手足の長い人だった。
彼の主演映画、大藪春彦原作の『蘇る金狼』や『野獣死すべし』を見ており、多大な影響を受けていた。
・・・だから、
昼間はレイバンの眼鏡をかけ、精力的に仕事をこなし実直なサラリーマンを演じた。
仕事が跳ねると一目散に空手道場へ向かい、サンドバックを蹴りまくる。体脂肪を極力削った肉体の完成を目指していた。
サウナで汗を流すと今度はライトアップした東京タワーが見渡せる、東京ベイにあるBAR、IJU25(イジュウ25)へ出掛けた。
カウンターに腰を降ろし、IWハーパの入ったグラスを掲げ、東京タワーをグラスの中へスッポリ収めてみた。
それを透かして見せてつれの女に言った。
『タワーを君にやるよ』
・・・
俺は野獣になりたかった。
地位と名誉と財産を得る為に、執念と欲望を身体の隅々に撒き散らしていた。
・・・
あれから月日が経った。
・・・今日も家族の食べた食器を洗い、皆のお布団を引く俺の姿があった。
この動画「最も危険な遊戯テーマ」をご覧ください https://share.google/f61YrvovySDS9S2NDこの動画「最も危険な遊戯テーマ」をご覧ください https://share.google/f61YrvovySDS9S2ND