『ダメな人』が世の中を変えていくワケ | パソコンの各種トラブル・データ復旧に役立つ情報発信ブログ

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人生を振り返り、イイ時も悪い時も山あり谷あり、人生いろいろ・・・・。でも今となれば全てがイイ経験と思い出ばかりです。そこで今回は身近なパソコン生活で突然やってくる各種トラブルに対しての限りなく有益情報をお届けします。(^。^)

少し前に作家の林真理子さんと元ライブドア社長の堀江貴文さんの対談を読みました。

一時よりずいぶん控えめになったとはいえ、堀江さんは家族やマイホームをもつという小市民的な幸福を痛烈に批判し、林さんの自虐的な「私みたいな人生はダメですね」というリプライをフォローもせず自説を展開し、もしかして林さんは家に帰って地団駄を踏んで悔しがったんじゃないか、と思わず苦笑してしまいました。

服役以来、すっかり大人しくなった印象があった堀江さんですが実はそれは仮面に過ぎず、逆に、若い頃はけっこう型破りだったのに現在は文化人としてすっかりエスタブリッシュメントなライフスタイルになってしまった林さんと好対照な印象を受けました。

ライブドア事件については確かに堀江さんサイドに非はありましたが、同様の事件では過去に例のない実刑判決という重罰も含め、国の裁定の公平性に大きな問題があったのではないかと私は思っています。

ですから、堀江さんが以前のようなホリエモン節を復活させているのをみると、「あれほど大変な目に遭っても人間の本質はやっぱり変わらないのだな」と感心するとともに、まだまだ堀江さんのような型にはまらない青年たちが、日本の将来や日本人の価値観を変えていってくれるのではないかと少し期待してしまいます(私自身は堀江さんのファンではありませんし、彼の話の内容に共感するわけではありませんが)。

ある意味、堀江さんは「ダメな人」です。ダメとは能力が低いという意味ではなく、社会の規範(norm)にうまく適合できないという意味です。若いうちに旧来の社会の考え方や慣習にうまく乗れず、ドロップアウトしていってしまう。社会の大多数の構成員は従来通りの規範に従って暮らしていますから、こういう人はうまくその社会に馴染めずはみだしてしまい、その結果、大多数の人には考えもつかない新しい考え方や方法論(イノベーション)を作っていくのだと思うのです。

その意味では同じIT業界の孫正義さんも同じだと思います。

私がまだ20代初めの社会人1年生の頃、パソコンソフトのディストリビュータ業でめきめきと頭角を現しつつあった孫さん(まだ20代でした!)の話を、仕事で何度かお伺いしたことがあります。

ソフトバンクは現在のような大会社ではありませんでしたが、そのあまりにも真っ直ぐでけれん味のかけらもない様子や言動に圧倒され、孫さんの描く壮大な未来のヴィジョンに心底わくわくしました(一部では大ぼら吹きとも呼ばれていたようです)。孫さんの周囲だけ空気の色が違う印象まで受けました。

当時孫さんは「じじいキラー」と呼ばれ、シャープの佐々木元副社長をはじめ、年配の財界人を魅了する人柄や才能で有名でした。出自が日本国籍でなかったり、アメリカの大学を出ていたりという経歴も含め、バックグラウンドは決していわゆるエリートコース=エスタブリッシュメントではなく、むしろもともと「ダメな人」がどこまで行けるかとマスコミも含めてある意味冷やかに周囲は見ていたような気がします。しかし、当時の私の上司も含め、孫さんにほれ込んだ人たちは、ずっと温かな目で熱心に彼を応援していました。どちらが目利きであったかは現在の孫さん自身が証明しています。

家入一真さん。この本を読むまで「前回の都知事選に出馬していた人」というくらいしか家入さんのことを知りませんでした。

幸か不幸かまったく先入観がなかったので、「元ひきこもり」という枕詞で有名だったことや、ITサーバー・プラットフォームビジネスで時代の寵児となり最年少で上場を果たしたこと、その後、飲食店ビジネスに進出し失敗して無一文になってしまったことなど、ライブで自分が体験しているようにわくわくしながら読むことができました。

堀江さんや孫さんに比べてもまったく遜色がないほど、家入さんは「ダメな人」です。何もないところから地方でITビジネスを始め、誘われるままに家族と上京して上場。あれよあれよという間に業界の有名人になりますが、本人はシャイで人見知り。上場で巨額な財をなすとお金目当てですり寄ってくる人々に大盤振る舞いをし、思いつくままに次々と採算無視の飲食店を開店し、あっという間に全財産をなくして家庭も崩壊。これまで持ち上げてくれた人たちも次々と彼から去っていきます。

そんな中でも彼がまた古巣のITビジネスに戻って彼のもとにやってくる若者たちと新しいビジネスを立ち上げ、都知事選に立候補し、彼を中心としたコミュニティを作っていく。この過程でまた彼は息を吹き返したように本来の自分自身に戻っていきます。

この本を読んで、私は故スティーブ・ジョブズを思い出しました。やはり私が社会人になりたてで孫さんにお会いして感銘を受けていた頃、ジョブズは業績低迷と傍若無人な振る舞いから創業したアップルを追放されていました。失意のうちに巨額な私財を注ぎこんだNeXTで新世代コンピュータを開発しニュースになりましたが、結局、ジョブズの目論見通りには売れず「彼はもう過去の人」と評価する人がほとんどでした。

しかし、そのいっぽう、ピクサーを買収してこれまでの映画界やアニメーション界の常識を覆す作品を次々と発表。最終的にはアップルのCEOに復帰し、大コケしたNeXTの技術を活かしてiOSを開発し、世界を変えた一連の製品を発表していきます。

伝説になってしまった現在では、アップル追放時の彼のことを語る人も少なくなってしまいましたが、この時代も含めジョブスが超一流の「ダメな人」だったことは誰もが認めるでしょう。

『我が逃走』は「ダメな人」が紆余曲折を経ながら、自分が信じるものに誠実に、人生の中で向かい合っていく物語、ある意味、一級の青春小説です。家入さんが今後、ジョブスのように世の中を変えていってくれるのか、楽しみに見守りたいと思います。