On Your Mark 121 | ♡妄想小説♡

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主に妄想記事をあげています。作品ごとにテーマ分けしていますので、サクサク読みたい方は、テーマ別にどうぞ。 ※物語はすべてフィクションです。  
たまに、推しへのくだらん愛も叫んでます

「あ、きた!」



考えていると、恵が声を張り上げた。



真向かいに顔を上げると、同年代くらいの、若い男の三人組。



恵に向かって片手を上げているところを見ると、どうやら真ん中の彼がその相手、らしい。



なるほど。



中の上、と言ったところだろうか。




恵のそのお相手は、勉くん、と言った。



なんと恵の妹からの紹介で知り合ったのだという。



見ていると、どうやら向こうの方が恵により惚れているらしかった。



恵の一喜一憂にいちいち反応しているし、甲斐甲斐しく世話を焼きたがった。



一緒に来ていたのは、勉くんの先輩で、春樹、という男と、甲斐くん、という男だった。



二人とも、私たちよりは三つ年上だという。



その先輩たちが面白いことを言って私たちを笑わせても、勉くんはやきもちを妬くかのように、恵にあからさまにフォローを入れた。



〈俺のめぐちゃん、取らないでくださいよ〉と。



そして途中からは恵の隣に座って、二人で仲睦まじく世界を作って話し出した。



時間の問題だろう。



多分恵も、情にほだされやすい。



好きだと言われると、強くは拒めないはずだ。



それが、あからさまにタイプではない男でない限り。



そんなところも私たちは似ている。



おそらく勉くんは、恵のまぁまぁど真ん中のタイプだ。



中の上くらいのイケメンで、背は高くないけど、おしゃれに気を使っていて、おしゃべり上手で、恵を引っ張って上に立ってくれそうな。



恋愛でも似たような砂漠を彷徨っていた私たちだけれど、恵の方が一歩先に抜け出せそうだ。



それを、羨望とも、安堵の気持ちともどちらとも呼べるような気持ちで、眺めていた。