泥酔した勇征くんを送って行った、堀夏くんを待っていた。
みんなは今、カラオケで盛り上がっている。
………
m子「あ、来た!」
暗闇の中、こちらへ向かって歩いてくる堀夏くんの姿が見えた。
シルエットからでも、背が高いことが窺えて、そんなことにキュンとする。
「あれ?m子ちゃん、待ってたの?」
m子「うん、勇征くん大丈夫だった?」
「家に寝かせてきた。重くて大変だったー」
m子「すごい酔ってたもんね。一人で大丈夫だったかなって思って心配してた」
「家近くて助かったー」
m子「誰かもう一人着いてけばよかったのにね」
「あ、いいのいいの、俺カラオケ苦手だから、わざと。サボり」
m子「あ、そうなの?」
「m子ちゃんも中入ってればよかったのに」
m子「実は、私も、カラオケは苦手」
「あ、そうなの?」
m子「うん」
「じゃあこのままサボっちゃおっかぁ?今頃すんごい盛り上がってるだろうし、そのノリについていくの無理だなぁ」
m子「だよね、私も」
二人はカラオケの外にあるコンクリートの縁石に腰掛けた。
m子「堀夏くんてさ、何て呼んだらいい?」
いいなって思う人と並んで話すのは、緊張する。
「何でもいいよ、好きに呼んで」
m子「だってみんなバラバラでしょ?慧人くんは堀夏くんて呼ぶけど、颯太くんは堀さんって呼ぶし、黎弥くんは夏喜って呼ぶけど、勇征くんはなっちゃんで、何て呼ぶのが正解かなーって思って」
「なっちゃんって呼ぶ人が結構多いかなー、でも、正解なんてないよ、m子ちゃんの呼びやすい方法でいいよ」
m子「じゃあ、夏喜くんて呼んでいい?」
「うん、いいよ」
暗闇でも分かる。
あぁー、やっぱり笑うとかわいい。
彼女いるのかなー、いるよね、これだけかっこいいんだもん。
でもいたら飲み会なんて来ないよね、いや、でも誘われて断れなくて、ってこともあるし。
うわー、いきなり彼女いますか?って聞くのは、引かれるよねー、どうしよう。
「どうかした?」
夏喜くんが顔を覗き込む。
暗闇の中に浮かぶ、白い顔。
そんなきゅるきゅるの純粋無垢な瞳で見つめないで欲しい。
美しい顔が近くにあると、いかに自分が凡人か思い知らされる。
m子「ううん!何でも!
勇征くんって、いつもあんな風に潰れちゃうの?お酒弱い?」
「いつもはそんなことないけど、今日は珍しい。楽しくて飲み過ぎちゃったのかも」
m子「そうなんだ。…楽しかったなら、良かったんだけど、」
「勇征いないと楽しくないよね?」
m子「えっ!?何で?」
「だって勇征狙ってる子いっぱいいたんじゃない?」
m子「そんなことないよ?あー、A子は残念がってるかもだけど…」
「そんな感じ」
ふと笑う横顔も哀愁があって素敵だな…
どんだけ引き出しあるんだろう。
m子「あっでも、案外颯太くんと盛り上がってたから、楽しそうだったよ」
「そっか。黎弥くんもk子ちゃんといい感じだったしね」
m子「…うん」
連絡先、聞いてもいいかな。
迷惑かな。
こっから入ってこないで、っていうパーソナルスペース広そうなんだよな。
でも二人で話してみると、案外普通だ。
聞くなら、今しかないよな。
m子「あのー、よかったら、連絡先…」
「交換する?」
m子「はい!お願いします!!」
思わず大きい声が出たら、夏喜くんに笑われた。
「インスタでいい?」
m子「はい喜んで!!」
また呆れるみたいに笑われた。
「こっちのけんとみたい笑」
m子「あはは、だよね。あの、DMします…」
「うん、俺も」
m子「え…マジですか?ほんとに?社交辞令?」
「違うよ、ちゃんとするよ」
きれいな横顔。
おでこのラインからまっすぐ伸びた鼻筋がシュッとしてる。
m子「あ、じゃあ、待ってます。私も、送ります」
「うん、じゃあ、はい」
暗闇に光るスマホ画面。
それを持つ大きな手のひらと、長い指。
胸の高鳴りが止まらない。
一目惚れなんて初めてだけど。
これから何かが始まりそうな予感…
……
やっっと書けました!!
去年の8月に載せた、これのpart 1.
その続きです。
『もしも飲み会にFANTASTICSが来たら』です![]()
堀夏くんに一目惚れしたm子ちゃんのお話の続きです![]()