肩越しの彼。 | ♡妄想小説♡

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主に妄想記事をあげています。作品ごとにテーマ分けしていますので、サクサク読みたい方は、テーマ別にどうぞ。 ※物語はすべてフィクションです。  
たまに、推しへのくだらん愛も叫んでます

あ…今日も、また、いた。



通学に使っている、学校の最寄駅。



そこで、最近よく見かける彼。



ホームの真ん中あたりのベンチに座っていて、いつも、スマホをいじっている。



耳には、無線のイヤホン。



そこまでは普通だけど、ベンチに座る姿は、そこら辺の高校生の男子とは比べ物にならないくらい、雰囲気がある。



隣の高校の制服を着た姿は、座っていてもすらっとしていて、足が長くスタイルいいことが分かるし、後頭部は小さく、顔はもっと小柄だ。



程よく日焼けした肌に、スマホを握る、大きな、手。



初めて見た瞬間に、恋に落ちた。



かっこいい、と。



あんなにかっこいい人、きっと一度見たら忘れないはずだ。



でも、今まで一度も見かけたことがなかった。



高校の、帰り道。



最近は、ホームルームを終えてまっすぐ帰ってきた頃、大体四時半の電車に乗るときに、見かける。



一年生には見えないし、あの雰囲気からして、多分、先輩。



三年生かな。



もしかしたら、これまでは部活とかしていて、こんな夕方の電車には乗ったことがなかったのかも。



三年になってようやく引退、ということだろうか。





今日も、同じ方向の電車に乗りながら、彼をちらちらと盗み見る。



いつも私が降りる駅よりも先の方へ行くので、彼がどこで電車を降りて、どの辺に住んでいるのかは分からない。



すると、彼がスマホから目線を上げて、ちら、とこちらを見た。



ぱち、と目が合って、心臓が爆発しそうに跳ねる。



必死に口角を上げて微笑んでみようと試みたが、緊張でうまくいかないった。



無表情のまま彼は、またスマホに目線を落とした。



いつも一人だし、笑ったところなど見たことない。



スマホをいじっていても、あまり表情は変わらないけど、そんな姿もかっこいい。



手紙、とか渡したら、迷惑かなぁ。



せめて、メッセージアプリだけでも、交換。



名前も分からないし、SNSで検索も出来ないなぁ。



どうにかして、近づきたいなぁ。




そんなモヤモヤを抱えたまま、いつまで経っても声が掛けられず、しばらくが経ったころ。



今日も、またいつものようにベンチに彼は座っていた。



私は、ポケットにメッセージアプリのIDを書き留めたメモを潜ませていた。



今度こそ、渡したい。



「あの…」



と声をかけようとした時、



「夏喜くん!」



後ろから、女の人の声がした。



すると彼が顔を上げて、私の方を見た。



…じゃなくて、その目線は、私を通り越してその後ろへ。



すぐさま一人の女性が私を追い越して、彼が座るベンチに腰かけた。



"なつきくん"



とは、彼のことだったのだ。



映画を見るようなワンシーンだった。



短いスカートから白くて長い足が伸びた、スタイルのいい女性。



そんな彼女を見て、彼が目を細めて笑っている。



笑ってるとこ、初めて見た。



無表情で静かな彼も雰囲気があってかっこいいけど、笑った顔は子供のようにかわいくて切ない。



おでこをくっつけ合って、彼のスマホを二人で覗き込む姿。



彼がつけていたイヤホンをかたっぽ彼女に渡して、同じ音楽を共有する彼ら。



なんだ、彼女いたんだ。



私の初恋は、そこで砕かれ弾け飛んだ。



せつない。





家に帰って、SNSで、"なつき" と打ってみた。



案外、すぐにヒットした。



隣の中学、隣のこうこう、結構共通の友達がいるみたいだ。



せつないな。



でも、まだチャンスはあるかな。



諦めなくったって、友達くらいにはなれるかも。



でも、あんなきれいな人が彼女なら、勝ち目、ないかな。









……

わーん、切ないねぇ💦


私、なっちゃんに対してって、どうしても憧れの存在、ってイメージが強いのよねぇ😢



職場だったら、イケメンの、目の保養にしたい上司、学校にいる、憧れの先輩、とか



見た目がどタイプ好きすぎるせいかしら🥰