亡くなった方の財産は、遺言書がない場合、相続人で遺産分割協議をして
各相続人の取得分を決めますが、
相続財産でも遺産分割協議をしなくていいものもあります。
ほとんどの相続で、遺産の中に『銀行預金』があると思いますが、
実は、この銀行預金(預金債権)は遺産分割協議をしなくてもいいんです。
え?何言ってるの?って感じですが、
ここで、最高裁昭和29年4月8日判決です。
『相続人数人ある場合において,相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは,その債権は法律上当然分割され,各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解すべきである』と判示しています。
預金債権も可分債権ですから、
被相続人が亡くなった時点で法律上当然に分割されて、
法定相続分に応じて各相続人に帰属することになります。
遺産分割を行うまでもなく、
既に各相続人に分割承継されているのですから、
原則、遺産分割の対象外となります。
えーっ、でも、通常は、だれがいくら相続するのか遺産分割協議してますよ~!!!
という意見が圧倒的でしょうが、
これはこれでOKです。
つまり、共同相続人全員の合意があれば、預金債権も遺産分割協議をしてもいい。
ということになっています。
他の遺産(不動産や動産)などと一緒に遺産分けの話し合いをするケースが多いと思います。
(実務上、そのほうが都合がよかったりもしますので)
もちろん、この相続人全員の合意が無い限り、
預貯金は遺産分割協議を待つまでもなく、
※相続人全員の合意とは (預金も遺産分割協議で分配方法をきめよううよ~)っていうものです
ただし、これが、
『現金』だと、話が違います。
遺産の中に現金があった場合、
現金は、預金債権のように当然に分割されるのではなく、
不動産や動産と同じように遺産分割協議を経て分割されますからご注意が必要です。
以上、相続豆知識でした。
相続書士 青木克博
相続開始と同時に当然に分割される。こととなっています。