「いただきまーす」
アキラと、ミツルと母さんと4人で夕御飯を食べていると、電話が鳴った。
「はい、あらジュンさん。こんばんわ・・・・・ええ居ますよ。はい、少し御待ち下さい」
電話口を掌で押えて、僕によこす。
「貴方。ジュンさんから」
「ああ、判った・・・・・ああ、ジュン?」
「うん、いいけど。ああ、今週の土曜日だね?オーケー」
電話はジュンからだった。
今週の土曜日に遊びに来ないか?という誘いだった。
でも、何だか何時もと声が違っていたなあ。何だろう?
僕が帰郷して2年ほどした頃に、ジュンも帰郷した。
彼は東京時代に結婚してた。
今じゃ、二人の子供のお父さんだ。
彼の父の後を継いで、家業を任されている。
土曜日にジュンに会いに彼の家に行った。
「ピンポーン!」
「やあ、よく来たな。ちょっと待っててくれないか?」
「うん。いいよ」
彼が建てたマンションに、彼は住んでいる。
ジュンが建てたマンションか。僕には実感が沸かなかった。
「祐。いいよ。入って」
「うん。お邪魔します」
「・・・・・あれ?マリコちゃんは?」
「・・・・・ちょっと買い物に行ってもらった」
「あっそう」
ジュンがお茶を入れてくれる。僕は何だか、いつもと雰囲気が違っている事に戸惑った。
リビングのソファーに座って、二人でお茶を飲んだ。
「祐。俺は、この8月で35才になったぜ。お前も、来年3月で35才か?」
「うん。そうだね」
「お互いに、歳を取ったよなあ・・・・」
そう云うとジュンは、僕の顔をジッと見詰めた・・・・
「この前、アキラちゃんから電話があった」
”しまった。ジュンはムサシの事を知ってるんだった!・・・・・・まさか?”
「ジュン・・・・」
「俺はさあ。アキラちゃんが大好きなんだよね~」
そうなんだよ。ジュンはアキラが気に入っていて、アキラと二人で帰って来た時は、歓迎会を開いてくれた。
「だからさ~。アキラちゃんが哀しんでいる姿は、見たくないんだ~」
何も云えないで黙っていると、突然。
「祐。お前も、やっぱり男だったなあ。35才になって、ようやく解ったよ」
エッ?何それ?・・・・これはショックだった。浮気がばれたよりショックが大きかった。
「もう、お前の美貌も通用しないよ。普通の生活に戻るんだな」
そういうと 「ドカッ」 とソファーに背を凭れさせて、ジュンは僕から視線をそらした。
僕はショックでボーゼンとして・・・・・・視線をそらしたままのジュンを見ていると
「帰る」
と云って、帰ってしまった。
今日は、最悪の日だ。