アキ君が帰る日の夜が来ました。
「アキ君。少しは寂しい?」
と聞くと 「エッ。なに?」 と聞き返されてしまいました。
情けない話ですが、アキ君の私に対する評価はそんな処でした。
きっと、彼女と会えることで頭の中は一杯だったのでしょう。
とにかく、今夜でアキ君は帰ることになりました。
彼の車に引越し荷物を満載していました。
私はバイバイと見送って、すごく寂しい気持ちになったのを憶えています。
この2ヶ月間で、少しは二人の関係は進展したのか?
最初の意気込みからは、程遠い成果でした。
でも、仲良くなれたし。
仕事上の事ですけど、信頼関係も築く事ができたので良しとしよう。
私の本音は、そんな所でした。
アキ君と別れて、30分後のことです。
コンビニに行くと、なんと其処にアキ君が居ました。
何をトロトロしてるんだ?
そんな気持ちで彼の車を見てました。
「どうかしたの?」
「アッ。hiroさん」
彼は嬉しそうに話してくれます。
他愛もない会話を二人でしていると、突然車の引越し荷物の中から、目覚ましのベルの音が鳴り
響きました。
「アッ、しまった!目覚ましをセットしたままだった」
彼はそう言うと、車の中の布団の塊に体ごとモグリ込ませてゴソゴソやってます。
目覚ましを捜して、止めているのでしょう。
だけど、その仕草が可愛い。
布団の中に潜り込んで、ゴソゴソと・・・
可愛い人に会うと、いつも思うのだけれど。
なんで可愛い人は、仕草まで可愛いのでしょうか?
逆に仕草が可愛いから、可愛い人と思ってしまうのか?
ツトムも、よっちゃんも、エノキダも、Aさんも、みんな仕草が可愛いのです。
アキ君も、仕草が可愛い。上品というか、可愛いというか。
私のツボを突くのです。
私は、車の中の布団の塊に体ごとモグリ込ませてゴソゴソやって、目覚ましを止めている彼を見ながら。
「惚れてしまった!」
彼に惚れてしまったことを、心の底から実感してしまったのです。
やはり、どんなに容姿が可愛かったとしても、容姿だけで心底惚れることは有りません。
何度も書いているけれど、私の恋した人達は人柄の善い人が多かった。
仕草の可愛い、人の善い人が多かった。
「アキ君に惚れてしまったのだ!」 と心の底から気が付いた。
そんな夜でした。