逆転カップルの日常

逆転カップルの日常

そのままです。

まるで男女逆転したカップルの他愛ない日常

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カラオケ事件があってから一週間。
私と彼は毎日100通以上ラインをしていました。内容はほぼ同じで、「今から外を徘徊しようかな…」という私の発言をひたすらやめろと止める彼。
止めて欲しいがために、私は毎日彼にそんなラインを送っていたんです。彼はかならず私を心配してくれる。絶対に止めてくれる。その確信を持っていたからこそ、彼を頼り、普段はそんなにしないラインに釘付けになっていたんです。

一週間、彼と毎日ラインをしました。サークルでも会っていたけど、それはただの同級生として。一週間後の土曜日、私は彼を家に呼びました。
「もしよかったら、今日来てほしい」
それに対する彼の返事は、いつもに比べて少し冷たいものでした。
「9時過ぎるけど」
顔文字もない、そっけない返事に胸騒ぎがしました。面倒だと思われてるだろうか、本当は来たくないのに無理矢理来させているのかもしれない。彼は9時過ぎにうちにやってきました。
私は、彼に酒を勧めました。彼は車でうちに来ています。飲んだから帰れなくなる。「うちに泊まっていけばいいじゃん」そう言って酒を飲ませました。

最初は他愛ない話をしていました。私のかこの恋愛のはなし。男性恐怖症の原因となったトラウマのはなし。彼はちょっと辛そうにしながらも、その話を一生懸命聞いてくれました。

それからしばらくして彼はふと、私を読びました。
「A子さん、こっち来て」
男性恐怖症の私は彼に触れることはできません。できるけど、体が勝手に反応して震えてしまうのです。彼は手を広げていた。怖いけど、嬉しい。どうしよう…。そんな葛藤をしていると、彼のてが私の手を掴み、ぐいっと引き寄せられました。声にならない声をあげ、彼の方に行ってしまう。彼の左側。彼の手は肩にまわされていて私は彼に寄りかかっていました。全身が震えました。
「ごめん、怖がらせて。ごめん…」
彼はそういいながら、私の肩を撫でました。少しだけ安心しました。それでも、からだの震えは止まらないし声もでない。彼は、何も言いませんでした。

その状態で、10分ほどいたでしょうか。
私は状況にずいぶんとなれて、震えもとまっていました。

「A子さん、抱きしめてもいいですか?」
その沈黙を破ったのは彼でした。彼はそういうと同時に、右手で私の体を覆いました。
一人暮らしの女の家に呼ばれ泊まっていけなんて言われたら、大抵の男性は期待するのではないでしょうか?体は震えていたけれど、本当に嬉しいと思っていました。ただの自惚れかもしれないけど、彼は私のことが好きだとそう確信しました。

そしてそんなことを思っていると、
彼が意を決したように私の方に向き直りました。体が離れて、バッチリと目が合う

「キスしてもいいですか」

彼のその言葉は、告白に近いものです。
それでも私は、彼の口から聞きたい言葉がありました。私は彼のことが好きなのだから、これを断る理由などありません。でも、今はまだキスされるわけにはいかなかった…

「どうして?」
「…なんとなく」
「じゃあ、だめ…理由があるならいいけど。どうしてキスしたいの?」
「それは…、その、…A子さんが、す…、てきだからです」
「…素敵な人には皆キスをするの?」
「いや、ちがう、そうじゃない……」
「じゃあどうして?」
「その…、えっと…」

言い淀む彼を待っていました。
もう大丈夫、震えも止まった。

「あー、えっと……。その…っ、あーもう!!
   俺は……!!


   A子さんのことが、好きだよ」

わかってはいたけど嬉しくて、顔を覆いました

「ごめん、怖がらないで。もうしない、なにもしないから…」

彼が付け加えるように謝り倒すから、私はゆっくりと顔をあげ、そして目をつぶった。
彼は何も言わないで、私にそっとキスをしました。

そして私たちの交際が始まりました。
なんだか策略的で、欲に頼った、ロマンチックさには欠ける告白だったけど、この日がなければ今はなかったのです。
この日に感謝しています。

………なれそめ end………