ちょうど今日
十六夜なのでタイトルにしてみた
十六夜（いざよい）って
満月の次の月なんだけど
ぐずぐず躊躇（ためら）って昇るって
意味らしい
なんとなく
モモちんみたいって思った(*^^*)
ちなみに
映画のヒョン。
喫茶店のおしぼり見て
「こんないいものがあるんだ！
大阪には～♪」
って、嬉しそうなのがめっちゃ可愛い( *´艸｀)
大好き！！
ヒョン♡
何回か書いてるけど
ちょっと最近、目線が変わったので
また
「ひょん、ころしちゃったモモちん♡」エピソードです
シリアス過ぎて
ごめんなさいｗ
********************* ep.36
開け放した窓から
ぼんやりと月を眺めていた
満月が少しだけ欠け
躊躇いながら昇る月
自分と似ている、と思った
右手に握りしめた銃を下ろすと
体中の力が一気に抜け、その場にへたり込んだ
真っ暗な部屋に差し込む月明かり
シンと静まり返った夜更けに
ただそこで
息をしていた
幸田さん...
俺はあれから
再び兄と会ったんだ
俺を殺しに来た兄と
人違いであってほしいと願ったが
夕日に照らし出された兄の顔を
見間違うわけもなかった
一瞬..
思うようにさせてやろうかと考えた
ただの教師である兄に
勝ち目がないことは明らかだ
兄が銃に手をかけた瞬間
頭で考えるより先に
細胞が反応していた
俺はもうスパイの闇に
芯から染まっていたんだな
兄を殺す..
昔の俺ならそれすらも
任務の遂行だと割り切っただろうか
兄の頭を撃ち抜いて
自分のパスポートを紛れ込ませ
顔面を原形もとどめないほどに壊した
俺は兄を殺すと同時に
自分という人間を抹殺した
「楚要煥」を
この世から葬った
その全てを淡々とこなす自分を
初めて恐ろしいと思ったよ
スパイをやめ
任務以外で人を手にかけることはなかった
それなのに俺は
兄を...
実の兄すら利用し
自分を抹殺して
俺は自由になれると思ったのか
パスポートなんて紙切れ一つが
俺が俺でなくなる理由になんてならないのに
それでもどこかで
解放されるんじゃないかと
淡い期待を抱いた
自分を消すことすら
躊躇わない罪深い人間に
そんな人生に何の意味があるだろうか
どれくらい
彷徨っただろう
一人に慣れているはずなのに
苦しくてたまらなかった
何も考えず
銃を取りこめかみに当てた
額がじっとりと汗ばみ
音もなく時間が過ぎた
..俺はなぜ
引き金を引けないのか
小刻みに震える身体を抱え込む
･･幸田さん
どうしてあんたの顔が浮かぶんだろう
こんなにあんたのことを
思い出すんだろう
あんたになら..
打ち明けられる気がするんだ
ぐずぐずと躊躇う自分の思いを
断ち切る方法がほかに見つからないんだ
俺にとって
あんたは何だろうな
あんたはこんな俺を知らない
あんたの闇とは交わることのない
非情な人生で
俺が生み出したものなんて
何一つない
ただ、抱えきれない
この苦しみから逃れたいんだ
あんたならきっと
上っ面の言葉は言わないだろう
何でもいいんだ
あんたが何を言おうと
どんな目を向けられようと
それで..
俺は
楽になれる気がする
..俺は酷い人間だな
幸田さん
一緒に月を見ないか
満月を過ぎて誰も見なくなった
十六夜を
だんだんと欠けて消えていく
月に
俺は自分を重ねているのかもしれない
****************
モモちん、
月はまた満ちるんだよ？
「満月」がモモ子かな♡
