黄金を抱いて翔べ「モモ×幸田」episode.10 黄金を抱いて・・ | 東方神起~ちゃみ萌えブログ~

東方神起~ちゃみ萌えブログ~

     ❤TV2XQ❤
  ユノとチャンミンを溺愛。

ほみんをいろんな角度から妄想してるブログ。
LINE妄想・ぎゅラジオetc.
みんなで楽しい気持ちを共有した~い(*^^*)

 

 

 

マニアック記事ですw


ep.7が「モモ目線」の最期で
これが「幸田目線」の最期です

なんでまた一人黄金ブーム?
書いてて泣きそうになった・・(T T)

やっぱりモモ、大好き♡
 

 

 

 

 

 


***************************ep.10




撃たれた傷の感覚はない
モルヒネで完全に麻痺していた

ビルから落ちた時に・・頭と背中を強く打ちつけたようだ
朦朧とした俺の視線の先には北川の顔

俺に向かって叫ぶように話しかけている

俺は・・死ぬのか?

意識がだんだん遠のいていくし
身体は鉛のように重い・・

猛スピードでトラックを走らせて
追ってくるパトカーの音が消えたころ
野田が目立たない道路脇に静かにトラックを止めた

・・重い瞼を開いた

「幸田!やったぞ!!なぁ、これ見てみろよ!」
北川がそう言いながら俺の肩を揺すった

その手を借りて俺はよろよろと起きあがった

辺りは真っ暗で見えるのは草むらだけだ

「本当に成功するとはな・・」
小さく呟いて金塊の入ったケースを眺めた

「ここから舞鶴まで行くぞ!なにか欲しいものあるか?
 体はどうだ?大丈夫か?」

北川が俺の顔を覗きこんで言った

視界がグラグラ揺れて
立っているのがやっとだった

北川の様子から察するに
俺は今にも死にそうな顔してんだろうな・・

「早くここから出るぞ!出港するまで気は抜けないからな」

「そろそろ行こか?こんなとこで見つかったらアホやしな」
野田が急かすように言った

「幸田、行くぞ?肩を貸すからつかまれよ」

そう言って俺の肩に回した手を
俺はそっと振りほどいた

「どうした?どこか痛むか?」

そんな心配そうに俺を見るな
俺は大丈夫だ

そう言いたいのに思うように声も出なくて
なんとか声を絞り出した

「・・・行くところがある・・舞鶴には二人で行ってくれ」

北川が目を見開いた

俺はその目をただじっと見つめ返した

俺の目に意志を感じとったのか
「そうか・・分かった、今は置いていく
 気が済んだらいつでも動けるように俺がなんとかするから
 心配するな」

「・・あぁ」

野田が運転席の窓から
早く来いとジェスチャーしているのが見えた

「じゃあ、俺は行くから」

「あぁ」

「またな!お前の分け前はしっかり野田から守っておくからな」

「ハハ・・頼んだ」

二人を乗せたトラックが静かに走り出し、視界から消えていくのを
ぼんやり眺めた

黄金を抱いて翔ぶ・・か

やったな、北川!


それを見送ってから
しばらく歩いて少し開けた通りに出た

タクシーをつかまえると
ポケットに入っていた皺くちゃのお札を握りしめて
俺は行き先を告げた

タクシーに揺られて眠っていたのか気を失っていたのか
いつのまにか着いたらしく
気付くと運転手の声がした

「お客さん、着きましたよ!」
少しイラついた口調なのは、俺がなかなか目を覚まさなかったからかもしれない

「・・どうも」
握りしめたお札を渡すとそのまま車外へ出た

冷たい風が頬を撫でた

少し歩いた先に見えるのは・・
あの教会だ

今朝、ここを後にしたばかりなのに
なんだかとても昔のことのように思えてくる

ここへ戻ることに迷いはなかった

警察が駆けつけてパトカーが数台止まって
黄色いテープが張られてそのまわりに野次馬がいる様子を想像していた

実際は・・
いつもと何も変わらず
辺りは暗く静まり返っていた

モモは・・

モモはどうなったんだろう

教会ならすぐに気付かれて通報されてもおかしくないはずだが・・?

そっとドアを開け、中に足を踏み入れると
暗闇の中にゆらりと人影が動いた

ゆっくりと振りむいたその影は
月明かりに照らされてぼんやり浮かび上がる

「・・・幸田・・さん?」


モモだ

朦朧とする意識の中で
目頭が熱くなるのを感じた
あたたかいものが頬を伝って流れ落ちた

次々と込み上げてくる感情がなにかもよく分からずに
ただ立ち尽くした

暗闇に慣れて
徐々にモモの輪郭が見えてきた時、俺は声を振り絞った

「・・迎えに来た」

自分の口から出た言葉に
あぁ、俺はモモと一緒に生きたかったんだ・・と気付いた

正確には・・
逝きたかったと言うべきか

正直、ここまで自分の体が持つとは思えなかった
ビルから落下した瞬間に死んだと思った

生きてもそう長くはない、と

北川も気付いていただろう
最後の最期に俺のわがままを黙って聞いてくれた
あいつのことだから俺を引きずってでも連れて行きたかっただろうに

俺の気持ちを察してくれたことがありがたかった


気付くとモモの影が目の前まで来ていた

「幸田さん・・」
そう小さく呟くと泣いているだろう俺の頬に触れて
そっと涙を拭った

「・・ありがとう」

「なんだよ、それ」

「ただ・・そう思ったから・・」

月明かりだけではあまり分からないが
きっとモモも立っているのがやっとなのだろう

柔らかく笑う表情とは裏腹に
体は小刻みに震えていて苦しそうな息遣いが聞こえた

「モモ、座ろうか」

二人でベンチに腰を掛けた

お互い冷え切った体を寄せ合った

肩にもたれたモモの柔らかい髪が愛おしかった
死んでいてもおかしくない傷なのに

俺を・・・待っていたんだろうか

「モモ・・」

「なに?」

「手、出してみろよ」

そう言うと震える手を差し出した

俺は上着のポケットに忍ばせたものを取り出し
モモの手のひらにそっとのせた

「これって・・」

モモが目を丸くして俺を見た

「黄金を抱いて翔ぶんだろ?約束したからな
 これしか持って来れなかったけどな」
そう言って笑うと

モモは嬉しそうに金塊を握りしめた

「幸田さん・・・一緒に行こうか」

「あぁ」

モモの手に自分の手を重ねて

強く強く握りしめた

もうそれ以上の力は残っていない

だが、もうほかには何もいらない

俺もモモも欲しいものを手に入れたのだから・・



このまま・・
一緒にいこうか・・




********************

 

 

 

 

 

 

モモ・・(T T)

大好きだよぅ~!!