もともと


せいちゃん家の先祖は


昔、戦国の時


伊賀の里で


隠密として


荒れ狂う乱世を駆け抜けてきた。


だから


今、この瞬間


灯りが消えたキッチンに忍び寄る


せいちゃんには


隠密の血が


騒いでいるのかもしれない。

























そんな妄想をしながら読んでください。


ブーイングは真摯に受け止めます。














『愛を込めて水曜日のスネ夫の続き』












せいちゃんとせい代(妻)

気まずい沈黙の中、夕食を食べる。




せい代
『トイレ行ってくる』



せいちゃん
『おっ、おん(うん)』




せいちゃん
(隠密の血が騒ぐぅ。。。)




ガチャン。せい代がトイレに入る音が聞こえた。




次の瞬間


せいちゃんは

食べかけのポテトサラダの入った小鉢を持ち

足音を立てず

灯りが消えたキッチンに忍び寄った。








食べかけのポテトサラダの小鉢と余っているポテトサラを並べる。










(これは料理の手順ではありません。)













食べかけのポテトサラダ小鉢にマヨネーズをかける。










(これは料理の手順ではありません。)






そして







マヨネーズをかけてるのがバレないように、余っているポテトサラダを上乗せする。

まっ、まさに情けない隠密だぁ。。。




こっ、これで、せい代には怒られない。バレない。




いやいや

 

せい代にはマヨネーズかけていいって言われているのに、、、、




僕は隠密に何をやっているんだ。。。。










忍び足で、再び着席した。






しばらくして
せい代がトイレから帰ってきた。





せいちゃん
『おうー。大丈夫?』




せい代
『えっ!? うん。大丈夫。』






また沈黙の食卓が始まる。









せいちゃん
『・・・・・・・・ごめん。さっき。』





せい代
『うん。どうしたん?さっき。』





せいちゃん
『・・・・・・・・・・・ごっにょ。。』
『マヨネーズかけたら、この味嫌なん!もう食べないでよ!って怒るやろなぁと思って。』





せい代
『私、怒ってないやん。』





せいちゃん
『『別に。』とか 『えっ?』 とか 『えっ!』 とか言ってたやん。あれ、めちゃめちゃ怒ってるんやろ?』




せい代
『はっ?えっ?えっ?えっ? 
怒ってないよ。
せいちゃんが何言いたいのかわからないし、逆に怒りだすから、私、混乱してた。』







(自分のわき腹をつねり、恥ずかしさを捨て、言う。)

せいちゃん
『・・・・・いやぁ、俺が~マヨネーズかけるの、せい代、嫌やろなぁと思って。
けどかけたいと思って。
けど我慢しようと思って。
そしたら、何か、、、せい代の言葉が全部怒ってるように聞こえて。。。
そしたら、我慢してんのに怒られてるような気になって。。。
そしたら、何かイライラしてきて。。。
もうええわーーーってなった。。はぁぁ。』




せい代
『『あかん』とか『やめて』って一言も言ってないよ。』

『そりゃ、私の料理、あんまり美味しくなかったのかなぁ。ってちょっとは思う。』

『けど、せいちゃんは濃い味が好きって知ってるからマヨネーズつけてもいいと思ってる。』

『それと、私は薄味が好き。せいちゃん好みに合わせてると私が食べたくなくなる。だから料理は私好みの味にしたい。』

『あとは、塩コショウやマヨネーズとか調味料をたくさんかけると体に悪いんじゃないか心配になるから。』






せいちゃん
『そっかぁぁ。・・・・・・・・そんな風に思ってくれてたんや。
ごめん。ありがとう。』




妻、せい代にはそんな思いが込められていた。






なのに僕は


『別に』


とか


トーンの違う『えっ』


とか


顔色だけみて


勝手に、怒られているように思い込んで


勝手に、イライラして


勝手にスネた。


そして、恥ずかしい情けないマヨネーズ隠密行動に走った。


(隠密って何やねん。)


はぁ~あ。




スネ夫せいちゃんの思い込みと妻せい代の思いはずいぶん違った。




話してよかった。
聞けてよかった。






このあとの食卓

食べ終わるまで沈黙が続いた

けど、優しい空気に包まれた。















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