数年前に神戸在住の友人のSNS投稿で知った「旧乾邸」の特別観覧。毎年春と秋に1週間ほどしか一般公開されない邸宅ですが、人気があって毎回抽選になるそうです。
私も前回応募してみたものの見事に落選し、今回 リベンジとばかりに応募して、やっと当選できました。後で聞いたら倍率5倍ほどだったそうです。
「旧乾邸」(旧乾家住宅)は、1935年(昭和10年)頃に乾汽船のオーナー乾新治氏の自宅として建てられた和洋折衷の建物です。敷地は約1200坪、土台は鉄筋コンクリート造で、外観は龍山石という柔らかな感じの石で覆われています。設計はモダニズム建築で知られた渡辺節で、建設費用は今の価値にすると30億ほどになるとか。
当時住吉村と呼ばれたこのエリアには、この邸宅以外にも、名だたる企業(住友財閥、安宅財閥、倉紡、東洋紡、鐘紡、武田薬品、日本生命、朝日新聞、伊藤忠商事、日商岩井など)のオーナーの大邸宅があったそうです。いわゆる「阪神間モダニズム」の象徴となった建物ですが、その多くは先の戦争で無くなってしまい、この乾邸だけが戦災も阪神大震災も免れて当時の姿のまま現存しています。
今は神戸市の所有になっていて、市の有形文化財に指定されています。管理は外部団体やボランティアの人たちが行っているそうです。
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11月4日火曜日
阪急御影駅から、道の両側に当時の邸宅跡を偲ばせる大きな家が並ぶ坂道を登ること15分、乾邸の敷地の正門に着きました。
建物の玄関のある北東の車寄せで受付(観覧料は無料)を済ませ、周囲をブラブラ。
外装の壁が細かいところまで凝った造りですばらしい。
庭にある壁泉(かべいずみ)。主人や来客を送り届けた馬車の馬がここで水を飲んだらしいです。
10:00になり、管理会のスタッフの案内で室内へ。玄関の装飾も凝っていますね。
玄関ホールの床。
2階まで吹き抜けのゲストルーム。シャンデリアがすばらしい。ガラスも当時のままだそうです。
暖炉がありますが、地下にあるボイラーで沸かしたお湯を館内に巡らせるという、当時最先端のセントラルヒーティングを取り入れていたそうです。写真はその吹き出し口。
ゲストルームからテラスに出られます。
意外にこじんまりとした食堂。
次の間には絨毯が弾かれていましたが、ちょっとめくると当時の木工職人の技が垣間見える床。
8畳の和室がありますが、入り口が襖と木戸の二重構造になっていて、外からは洋風、中からは和風の仕切りになるという細かい仕掛け。
和室は茶室風の簡素な雰囲気。
トイレは今も使えます。(さすがに便器は今風の水洗トイレでした)
館内では、いろいろな映画やドラマで度々使われたことを示すパネル。今も撮影依頼があるそうです。
各部屋には壁にブザーが付けられていて、事務室にあるパネルが点灯して、どこの部屋で呼び出しがあるか分かる仕組み。
2階に上がる階段の手すりも凝っています。細かい木彫りは一つの木材から彫り出したものとか。
踊り場もよく見れば、細かいところにもこだわりが。
バスルーム。
床のタイルも凝っています。
衣装部屋も作り付け。
3階にあるサンルーム(ゲストルームの真上)は、南北東が全面ガラスで明るい。北面の壁には、海運会社だけあって波の模様が入った磨りガラスがあり、壁にある8つの吹き出し口と床から熱風が噴き出すという造り。
吹き出し口も全て模様が違うという凝り様。横壁には温度計と温度調節つまみがあります。
床材の組子や壁の大理石の模様は、建築の専門家が唸るほど凝ったものだそうです。
庭に出てみます。
南側の芝生のある洋式庭園からみた主屋の全景。
隣接して和式庭園もあります。
主屋の隣には和式の別館や茶室の離れがあったそうですが、震災で倒壊し取り壊されたそうです。奥には蔵も見えます。
蔵の内部はこんな感じ。
1時間半ほどで、全体を見て回ることができて、昭和初期の大富豪の邸宅の雰囲気を満喫。外観はもちろん内装のあちこちまで、細かいところにもこだわりが感じられて、出るのはため息ばかりでした。
神戸にあるレトロ建築はいろいろ見てきましたが、こんなに贅を尽くした建物はなかなかないですね。



































