晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜 -190ページ目

晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

晴れた日は山に登り街を走り、 雨の日は好きな音楽を聞きながら本を読む
そんな暮らしがいい!

大統領選のある年に、アメリカ国内の分断を象徴する映画が公開されて話題になっているというので、観てきました。

 

 

映画の特徴を簡単に言うと、戦争映画+ロードムービー+戦場カメラマンの葛藤と成長物語、という感じです。

 

観る者は、内戦(=CIVIL WAR)が勃発して戦場になった近未来のアメリカに、何の説明もなくいきなり放り込まれますーというのを鑑賞前に聞いていたので、予習をして出かけました。

 

前提として:(本作のHPより)

連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー

 

なぜ内線になったのか?敵対するそれぞれの勢力は何を信条にして戦っているのか?説明は一切ありませんが、そんな事は分からなくてもストーリーには付いていけます。

 

一応戦争映画なので、銃弾が飛び交い、戦闘機やヘリ、戦車が縦横に動き回ります。それも普段よく目にする高層ビルや都会の街中で。その迫力たるや、私はDolby Cimemaの劇場で見たのですが、四方八方から迫る銃声や爆音に臨場感は半端なかったです。(IMAXだと更に効果が増しますね)

 

周りで兵士が銃弾に倒れていく中で、カメラを抱えて大胆に動き回る戦場カメラマンには全く当たる気配がなく、怪我ひとつしないのはちょっと不自然でしたが。

 

そんな戦場場面の合間に流れるBGMが、深刻さは微塵もなく、どちらかといえばノー天気な歌詞とメロディだったのは、悲惨さを際立たせるために敢えてそう仕込んだんでしょうか。

 

ワシントンD.C.に向かう途中で立ち寄った田舎町の描写が、なかなか秀逸。ブティックの店員は内戦が行われているのを知りながら、「面倒ごとには関わりたくないの」とばかりに無関心を決め込みます。今も世界のあちこちで起きている戦争の報道に、しょせん他人事と思う(私も含めた)多くの日本人の姿が重なります。

 

内戦になった結果、あちこちで悲惨な風景が映し出されます。給油で立ち寄ったガソリンスタンドの洗車機には、リンチで血まみれになって吊るされた住民の姿が。道中の公園では、ダンプカーに山積みされた死体を石灰を撒きながら穴に放りこむ兵士との遭遇と、その後の衝撃的な場面!

 

(そんな残酷な場面があるのに、PG12指定というのがちょっと信じられません。せめてR18指定にすべきでは、と思います)

 

戦争の最前線となる極限状況の中で、過去に行われてきた(そして現在もどこかで行われている)狂気の行動を映像で見せつけられると、戦争(紛争)というのがすぐ身近でも起こりかねない状況を想像するだけで戦慄してしまいます。まさに「今そこにある危機」ですね。

 

日本国内で、紛争とは言えないまでも、大きな災害や政治的な混乱が起きて、信条の違いから対立する事態になれば、(先の戦争でもあったように)同調しない者を排除する空気になるのは、簡単に思い描くことができます。

 

戦争映画として見ると物足りないと思います。監督がこの映画を通じて訴えたかったのは、戦争そのものではなく、それに関わる人間の心の奥底に潜む凶暴性だったのかもしれません。観終わって色々考えさせられる映画でした。