映画「パリのちいさなオーケストラ」 | 晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

晴れた日は山に登り街を走り、 雨の日は好きな音楽を聞きながら本を読む
そんな暮らしがいい!

去年ミニシアターで上映されていたのを見逃してしまった映画が、市内のホールで上映されると知って、観に行って来ました。

 

 

あらすじ(公式サイトより)

パリ近郊の音楽院でヴィオラを学んできたザイアは、パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢を持つ。だが、女性で指揮者を目指すのはとても困難な上、クラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいる。超高級楽器を持つ名家の生徒たちに囲まれアウェーの中、ランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では指揮台に立っても、真面目に演奏してもらえず、練習にならない。しかし、特別授業に来た世界的指揮者に気に入られ、指導を受けることができるようになり、道がわずかに拓き始める-。

 

🎬 🎬 🎬 🎬 🎬 🎬 🎬 🎬 🎬 

 

現在も活動をしているフランスのディヴェルティメント・オーケストラを立ち上げたザイア・ジウアニとその仲間たちの物語です。

 

(私は全く知らなかったのですが、この作品が2023年に公開されて存在が注目されたザイアは、2024年に開催されたパリ五輪で聖火ランナーを務め、さらに閉会式では彼女が指揮するこのオケがフランス国歌を演奏したそうです。)

 

今でこそ女性指揮者が注目されていますが、1990年代は世界中でわずか6%しかいなくて、それも男性指揮者の助手のような存在でした。アルジェリア移民の子で尚且つ女性というハンデを背負いながらも一流の指揮者になった実話が元になっています。

 

パリの音楽院に編入された後も、偏見と差別を受けますが、ある日の特別授業で巨匠チェルビダッケにその才能を見出されて、厳しい指導を受けながら、自らも努力を重ねて才能を開花していきます。

 

アメリカ映画ならその過程をドラマチックに描くでしょうが、そこはフランス映画、差別との確執もサラッと描いてあっけないくらいに淡々とストーリーが進みます。

 

サクセスストーリーよりも、個人的に面白いと思ったのは、チェルビダッケとの会話で交わされる

「音楽とは何か?」

「オーケストラとは何か?」

「指揮者はなぜ必要か?」

という、音楽的かつ哲学的な問答です。

 

クラシック音楽の映画なので、劇中には有名な楽曲が演奏されたり、BGMとして使われています。

ざっとあげただけでも

ドボルザーク交響曲第9番「新世界より」

ベートーヴェン 交響曲第7番

バッハ「無伴奏チェロ組曲」

ベートーヴェン ピアノソナタ「月光」

サンサーンス「サムソンとデリラ」より

モーツァルト「魔笛」より

など。

 

特に、最初はTV画面で演奏されるラヴェルの「ボレロ」で始まり、エンディングもフラッシュモブの「ボレロ」の演奏で終わるという凝った演出。

 

BGMとしての使い方も、生活音のリズムに合うテンポの曲をシンクロさせて違和感を無くしたりと、こだわりが感じられます。

 

最近の、多様性を尊重するという社会的なメッセージも感じられますが、それほど強く主張するわけではありませんでした。

 

クラシック音楽に馴染みがない人も、なぜ指揮者がいるのかなど、基本の基本がわかりやすく描かれています。

 

映画を観ながら、去年初めて生で聴いた冲澤のどかさんのオーケストラ指揮を思い出しました。この映画の主人公と顔つきがちょっと似てるのも、親近感がありますね。