新海誠監督の話題の新作アニメを、さっそく観て来ました。
ストーリー(映画.comより)
九州で暮らす17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、扉を探しているという旅の青年・宗像草太と出会う。彼の後を追って山中の廃墟にたどり着いたすずめは、そこだけ崩壊から取り残されたかのようにたたずむ古びた扉を見つけ、引き寄せられるようにその扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で次々と扉が開き始める。扉の向こう側からは災いがやって来るため、すずめは扉を閉める「戸締りの旅」に出ることに。数々の驚きや困難に見舞われながらも前へと進み続けるすずめだったが……。
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タイトルだけを見た時に最初に思ったのが、「(鳥の)すずめ?」が「何の戸締り??」でした。「すずめ」が主人公の女子高生の名前というのはすぐにわかったのですが、「戸締り」というのが災害を引き起こす扉を閉めることと聞いて、頭の中がますます???となりながら、いつもの様にあまり予習せずに映画館へ向かいました。
そして、観終わった全体の感想はといえば、★★★★☆というところでしょうか。新海監督のこのシリーズは全て観ているのですが、最初に観て衝撃を受けた「君の名は。」(★★★★★)を超えることはなく、「天気の子」(★★★☆☆)よりは良かった、というのが個人的な評価です。
「災害3部作」とも言われているように、「君の名は。」では隕石、「天気の子」では豪雨、そしてこの「すずめの戸締り」では、地震(震災)を扱っています。なので、今回の映画では2011年の東日本震災がベースとしてあります。
劇中で(あの嫌な音の)地震警報が何回も鳴り響き、東北の震災風景も描かれているので、(阪神淡路大震災も含めて)震災での記憶がトラウマ(PTSD)になっている人には、観るのがちょっと辛いかもしれません。主人公のすずめはその震災で母親を亡くしたという設定で、それを乗り越えて成長していく過程もテーマの一つとして新海監督は敢えて表現しています。
また、過去2作品もそうでしたが、民俗学的な一面も取り上げられていて、青年草太が災害の扉を閉める「閉じ師」という役目を担っているとか、扉を境に現世と過去や神(精霊)の世界に繋がる、というのもなかなか奇抜な設定でした。(ドラえもんの「どこでもドア」とはちょっと違いますね)
そういえば、劇中に「もののけ姫」のダイダラボッチや、「千と千尋の神隠し」に出る「ハク龍」のようなものも登場するファンタジックな場面もあるので、新海監督の宮崎駿監督へのオマージュも少なからずあるようです。
過去の作品に比べて、映像(特に背景や光・水の表現)はさらに洗練されて綺麗になっています。これだけ有名になったので、スポンサーも多くなって製作資金も潤沢にあり、スタッフもかなりの人数が投入されたことがエンディングロールでわかりました。ただ、人物のキャラクターが私の好みではないのがちょっと残念。
(前作と同じ様に、スポンサーの名前が映画の背景にチラチラと描かれているのは、仕方ないかな 笑)
「君の名は。」や「天気の子」に比べて、コミカルな表現が増えたのも、今回の特徴です。特に女子高生ネタは私の様なオッサンでもわかるほどおかしくて、ツボにハマる女子が多そうです。
幅広い年代の女性が多く登場します。すずめを引き取って育てているキャリアウーマンの叔母や、途中で出会うスナックのママ(伊藤沙莉が声優をしていますが、あのハスキーボイスが酒焼けしている声にすごくハマっていました)、同世代の高校生など、観ている側もどの世代でも共感できる感じですね。
劇中で70年〜80年代の懐かしい曲が流れて来ます。これはその音楽を聴いて育った世代にはたまりませんね。もちろん新海映画にはお馴染みのRADWIMPSの音楽も流れますが、過去に比べたら少ない感じです。
物語の舞台も、九州の宮崎から車で四国、明石海峡大橋を渡って神戸、新幹線で東京、そして最後は東北まで行き着くことになり、ロードムービーでありながら、すすめと一緒に旅する草太とのラブストーリーという一面もあり、そういう意味でも女子受けする内容になっています。LINEなどのSNSや地図アプリをサクサクと使いこなす、今時の若者の姿もきっちり描かれています。
一つ残念と思うのは、ストーリーの展開が少し雑なところがあって、もう一つ感情移入できなかったこと。すずめが草太と出会う場面とか、草太が椅子の姿に変えられてしまう過程とか、背景や心理描写がもう一つ欲しかったかなという気持ちです。逆にいえば、そういったところを端折ったおかげで、展開にスピード感が出てゆったりした場面との対比が際立って、2時間の上映時間中飽きなかったというメリットもありました。
ファンタジー?ラブストーリー?ロードムービー?宮崎アニメへのオマージュ?女子ウケ狙いの映画?自分探しの旅?震災の鎮魂映画?
様々な要素があり、観る人によって、いろんな見方ができる映画です。
追記
今だけかもしれませんが、映画館で「新海誠本」という冊子をもらいました。この映画の企画書の一部や、新海監督とのインタビュー、監督と主人公ふたりの声優との鼎談が書かれていて、なかなか面白い内容です。

