RINPA? りんぱ?琳派! | 晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

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今年は琳派が誕生して400年目に当たるとかで、京都市内を中心に展覧会を始め様々なイベントが開催されていることは、前にもこのブログで紹介しました。

琳派というのは、改めて説明するまでもなく尾形光琳を中心にした芸術の流派です。狩野派のように代々弟子を取って技術を伝えていくのではなく、先達の模写などを通して、同じような手法を継続していった変わった流派なのです。

代表的な絵としては、美術の教科書に必ずといっていいほど載っている俵屋宗達(江戸初期)の「風神雷神図」


彼は琳派のもととなる芸術家のひとりですが、この「風神雷神図」を後になって尾形光琳酒井抱一といった琳派の流れをくむ芸術家たちが同じような構図で描いています。

尾形光琳作(江戸中期)


酒井抱一作(江戸後期)


三人とも金箔や銀箔をふんだんに使い、デフォルメされた風神雷神の姿やその大胆な構図、派手な色使いなどは共通していますが、よく見ると細かい部分はかなり違いがあります。

この三人の作品のオリジナルが一度に見られる、というので話題になっている展覧会が京都国立博物館(京博)で開催されていたので、出かけてきました。


「琳派 京(みやこ)を彩る」


と名付けられた展覧会ですが、9:00過ぎに会場となっている新館平成館に着いてみると、予想していた通り9:30の開館前にもかかわらずざっと200人以上の長蛇の列が。雨が降ったり止んだりのあいにくの空模様でしたが、やはり休日ともなれば人気のイベントはみんな朝早くから押しかけてくるようです。


それでも先日の「鳥獣戯画展」のように中に入るまで数十分かかるようなことはなく、すんなりと入場できました。


3フロア12室を使った展覧会は、琳派のおおもとになる本阿弥光悦の作品群から始まります。書状、茶碗、色紙などをはじめ、俵屋宗達が鶴の下絵を描いた上に、光悦が三十六歌仙の和歌を記した絵巻などはとても300年以上前の物とは思えない綺麗な状態でみることができます。

光悦に続いて宗達も色紙や屏風など大胆な構図と鮮やかな色使いの作品がこれでもかと展示されています。

そして一番楽しみにしていた三人の「風神雷神図」が一堂に展示されている室に入りました。

ところが

展示されていたのは、宗達と抱一の屏風だけ!

調べてみると、三人の屏風が一度に展示されるのは会期中のたった2週間だけで、後半のこの時期は二人だけの展示ということがわかりました。残念。

それでも初めて生で見る「風神雷神図」のオリジナルは迫力があって素晴らしい物でした。

光琳の作品はやはり屏風が多かったのですが、忘れてはならないのは彼は優れた工芸家でもあったということです。

これも教科書でおなじみの「八橋蒔絵螺鈿硯箱」を目の当たりにできたのには感激しました。



光琳の弟の尾形乾山の作品も多く展示され、以降19世紀までの琳派の流れがよくわかるようになっていました。

圧倒的な作品群の展示と琳派の伝統をわかりやすく解説しているのはさすが京博だなと納得の内容でした。

博物館を出て、同じように琳派の展示をしているもう一つの会場京都国立近代美術館(近美)へ向かいます。歩いて40分くらいの距離でしたが、一緒に行ったヨメが雨の中なのでバスで行きたいと言い出したため、直行できるバスを探して乗り込みました。

そのまま近美へ直行すると思いきや、お腹が空いたので先ず美術館の近くにあるうどんの有名店の山元麺蔵へ行くことに。


常に行列ができている店ですが、この日も11:00に開店して30分も経っていない時間にもかかわらず、すでに50人ほどの行列ができていました。

店の規模が小さい(17席)のでなかなか進まず、我々が店に入ることができたのは13:30を回っていました。雨の中傘をさして約2時間立ちっぱなしで並んでいたことになります。

並んでいた時に注文を取ってくれていたため、それほど待つこともなく出されたうどんは出汁が絶妙で、併せて出された天ぷらも程よい揚げ方で評判通りの美味しさです。おまけに店員の元気あふれる挨拶や愛想の良さで、長時間並んだ疲れが癒されました。

お腹が満ちた後、再び近美に向かいます。


平安神宮のすぐ南にあるこの美術館でのテーマは

RINPA IMAGE

京博に展示されていた伝統的な琳派の作品ではなく、琳派の流れを組むと思われる近代や現代の作品群が展示されていました。

正統派の流れを組む神坂雪佳の作品を始め、
田中一光のグラフィックアート
池田満寿夫のリトグラフ
川久保玲のドレス
山本耀司のコート
はてはアンリ・マティスのステンシルまで

”一目で琳派” から、”なるほど琳派”、そして ”これも琳派?”

という作品が目白押し。これを見ると現代まで綿々と琳派の流れが継承されているのがわかります。

残念ながら、京博の展示に比べて知名度が低いせいか、館内はガラガラでじっくりと鑑賞することができました。

先日、同じように琳派の作品をモチーフにアニメとコラボした作品(富士にアトムの掛け軸、燕子花図に初音ミクが並んだ屏風など)が展示された京都マンガミュージアムに行ってきましたが、それぞれ美術館ごとに特色があって面白い企画だと思います。

敢えてイメージで表せば

京博=琳派
近美=RINPA
マンガミュージアム=りんぱ!

といったところでしょうか。

琳派という日本の芸術の伝統と奥深さ、そして何にでも応用できる柔軟さも持ち合わせた総合芸術の凄さを実感した1日でした。