近未来を舞台にしたアニメといえば、古くは1970年代の『宇宙戦艦ヤマト』をはじめ、1980年代の『機動戦士ガンダム』 、そして1990年代から今に続く『新世紀エヴァンゲリオン』があり、それぞれにコアなファンがいてその話になると熱く語る人が周りに必ずいるはずだ。
21世紀になってから『攻殻機動隊』というアニメがTVで放映され、これらの後に続く戦闘アニメとして位置付けられて過去の3作品とは違ったファンがついている。

エヴァンゲリオンほど有名でない攻殻機動隊の存在をはじめて知ったのは5,6年前。会社の20代の社員と話をしていて、「『攻殻機動隊』面白いですよ!」という何気ないひとことにつられてビデオを借りてみたところハマってしまい、結局TV放映された全52話を全部観てしまった。
何がそれほど引きつけたかというと、物語の持っているテーマの深さ、映像の美しさ、そして登場人物のユニークさなどが挙げられる。
時代は今より更にネット社会となった2029年。人間とロボットとサイボーグが共存している社会で起きる様々な現象をベースにして、そこで発生する社会問題を取り上げながら人間とは何かを探る展開になっている。この作品の中で「サイボーグ」というのは、脳と脊髄だけを残して機械化(作中では義体化)してしまった人間(?)のことを指している。そんな機械化・情報化された社会での特殊犯罪や情報戦に対抗するために組織されたのが内務省公安9課、別名『攻殻機動隊』である。
コアなファンから叱られそうなので、正確に言うとこの『攻殻機動隊』にはいろいろなヴァージョンがあり、それぞれに時代設定や登場人物が微妙に違っている。原作は漫画だが、主なアニメだけを挙げてみても、
劇場版
①GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 1995年
②イノセンス 2004年
③GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0 2008年
TV版
④攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 2002-2003年
⑤攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 2004-2005年
などがあり、このうち私が見たのは②④⑤のみである。
映像としてみると、特に②イノセンスの光の使い方はスゴイ。アニメではなく実写フィルムかと思うほどリアリティがある。しかしこれらの映画は、残念ながら日本では興行的に振るわなかったらしい。むしろ日本よりは海外のほうが評価が高いようだ。現にスティーブン・スピルバーグが実写版を計画しているという話もある。
どちらかといえばハードボイルドなキャラクターが多い中で、私が好きなのは、やはりリーダーの草薙素子(くさなぎもとこ)

義体化されたサイボーグなので冷たい印象があるが、ガンダムのアムロ・レイやエヴァンゲリオンの碇シンジ、綾波レイといった内向的な主人公とはまた違ったタイプのヒロインである。
ユニークなキャラクターとして外せないのが「タチコマ」という、人工知能(AI)を搭載して自ら判断して攻撃する戦車。わかり易くいえばSTAR WARSに登場するR2-D2の戦車タイプみたいなもの。時にユーモラスな行動をとるので同じように道化的な役割も持っている。

大人の戦闘アニメとして結構オススメの内容になっているので、レンタルビデオで一度見ていただきたい。