以前から美しいプログラムでしたが、今回の動画で強く心に響いたところが、本当にたくさんあります。

羽生選手が「今が一番上手い」からかもしれませんし、

羽生選手が伝えたいことを届けるための、意思を持った「映像作品」だからかもしれません。

 

 

前回の記事(その1)では、うまく書けなかったのですが…

歌詞の「Still I try 〜」で、羽生選手が見る者の側に駆け出してターンした時、涙が出そうになりました。

 

もちろん、この時の動きそのものも、心を打つと思います。

でもそれだけではなくて、

見る者に向き合いながら頭上を通過するシーンが、その前にあったからこそなのかな…と思いました。

 

元々は、ここ、身体を高い位置に保ってスーッと滑っていましたよね?

ジャッジ側から撮られた映像だと、右の方向に移動していく誰かを、見る者が距離をおいて見守る感じだったと思います。

それも良いのですが、今回の映像だと、作品中の人物の心が、見る者に対して真っ直ぐに届けられたかのようでした。

 

羽生選手と見る者が正対している、ということももちろんですが、

自分の上を通り過ぎて行った人を目で追わない人間なんて、いませんよね!

嫌でも見上げてしまいます!

 

凄い勢いで通り過ぎましたから、その人の姿は、一瞬のうちに小さくなっていきます。

それなのに、何という大きな存在感…

 

プログラム世界の中で、この人物は、確かに生きている!と思いました。

 

(あっ、個人的に「プログラム中の人物」と「アスリート本人」とを別のものとして見るのが好きです。でも、今回は「プログラム中の人物」と「羽生結弦選手」は、同じだと思って良いのかも?)

 

 

そして、「Still I try 」です!

「What if 〜」でこの歌が始まりますが、これは「When 〜」への対応ですよね?「would」も「could」も、ここには有りません。葛藤や紆余曲折があったけれど「確定事項として、私は、こうする」と宣言しているかのような言葉だと思います。

 

それから、羽生選手のブレードに轢かれたあたりの発音と比べて、温かさを感じさせる気がします。

(すみません、轢かれてはいませんね!)

 

「dream 」の「ea」と、

「Still I try 」の「ll」「I」「ry」のところを比べると、

発音が与える印象がかなり異なると思います。

(発音記号が出ないので、発音にあたる箇所のつづりを書いたのですが、分かりにくくてごめんなさい…)

 

サラさんの透明感溢れる声と相まって、心の昂りや張り詰めた思いが伝わってくる「ea 」。

一方、温かさや潤いが感じられる「ll 」「I 」「ry 」の響き。メロディラインの音も少し下がります。

それ以前のいろいろなことを、ゆったりと受け止めるかのようです。

 

そのような「Still I try」で、こちらに向かって駆け出したかと思えば、

次の瞬間には、こちらに背を向けてどこかに行くんですよ。

まるで鳥が飛び立つ瞬間のような…

楽器の音が分厚くなるのも、新たな飛翔を祝っているかのようです。

 

あくまでも私の受け取り方なのですが、

ジャンプ以外の動きでも、飛ぶことをイメージ出来るのだなあと思いました。

多分LFOスリーですよね???

身体が、外界に対して自己を解放するかのような形を描く気がします。

 

 

「映像作品」としてこのように見せてくれた羽生選手に感謝。

礎を作って下さった賢二先生に感謝。

 

 

※以下は妄想です!

振付を変える時に、振付師の先生の了承を取ると思うのですが、

「氷上に置いたカメラの上を通過したいので、開脚での滑走に変更していいですか?」なんて申し出たのかしら。

賢二先生がどのような反応をなさったかも、気になります!