子供の頃、「美」という漢字の成り立ちを調べた時に、「大きな羊」と説明されていたのを覚えています。
「・・・ひつじ?」と思ってしまったのですが、羊は神への捧げ物だったのですね。
神に対して差し出す物は、すばらしい物、というわけです。
さて、羽生結弦さんのプログラムの中で、一番美を感じるものですか・・・
えーと。
全部。
すみませんふざけているわけじゃないんです。
1つ選ぶって無理ですよ!
そもそも、「美」って言われても、いろいろあるではありませんか。
あくまでも私が知る限りではありますが、色取り取りの「美」が、どのプログラムにもあると思います。
うーん、一番美を感じるプログラム・・・??
というわけで、冒頭に記したような、
「美」の漢字の成り立ちを思い出したのです。
「神に捧げる」ことを一番感じられるプログラム、として考えてみました。
レゾンです。
えー!?
神に捧げるような趣のプログラムは、ほかにたくさんあるのでは?
とお思いになるでしょう。
レゾンって、ものすごく人間的なのではないか?と。
確かにそうです。
でも逆に、それが、尊いものに何かを差し出している様子を感じさせると思ったのです。
もちろん、観客や視聴者という人間に対して演技が行われますし、
作品世界で表現されているのは、人間の葛藤です。
まさに「人間の、人間による、人間のためのプログラム」だと思います。
しかしそれが、神に対して、真心を込めて人間の生き様を捧げているかのように見えるのです。
音楽を表現するために、
競技の枠なしで、まずは持てる技術をてんこ盛りにして、そして、削ぎ落としていった・・・
と感じられるプログラムであることも、神への美しい捧げ物を思わせるかもしれません。
競技の枠はなくても、ショーとしての枠はあるかもしれないですね。
でも、ショーだからこそ、「枠」を上回る効果が得られる可能性があります。
そう思うと、
多彩な足元の動きを基にした身体全体のムーヴメント、
そして、それらによって衣装が翻ったり静止したりする様が、美しい奉納の舞のように見えてくる・・・かも?