つづき



『 2010/08/23 21:00 』更新

きゅうせいこうまくかけっしゅ

急性硬膜下血腫


急性硬膜下血腫はどんな外傷か




 頭蓋骨の内側で脳を包んでいる硬膜と、脳の間に出血がたまって血腫になったものです。



原因は何か


 脳組織の挫滅(ざめつ)(脳挫傷 (のうざしょう))があり、そこからの出血が脳の表面(脳表)と硬膜の間にたまり、硬膜下血腫になります。
 まれに硬膜と脳表とを結ぶ静脈(橋(きょう)静脈)が切れて出血することがあります。この場合は、たとえ頭部に打撲 (だぼく)がなくても、脳が強く揺れるような外力(とくに回転性の外力)により出血します。



症状の現れ方


 血腫による圧迫と脳挫傷 のため、頭蓋骨の内側の圧が高まり(頭蓋内圧亢進(ずがいないあつこうしん))、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などが認められます。さらに、血腫の圧迫が脳ヘルニア の状態にまで進行すると、深部にある生命維持中枢(脳幹(のうかん))が侵され(呼吸障害など)、最終的には死に至ります。
 脳挫傷 の局所の症状として、半身の麻痺(片麻痺(かたまひ))、半身の感覚障害、言語障害、けいれん発作などが現れることもあります。受傷直後に血腫ができて症状が現れることがほとんどですが、数時間たってから意識がなくなることもあり、注意が必要です。最近の統計では、重症の急性硬膜下血腫の13%で意識障害が遅れて現れています。意識障害出現までの時間はその81%が3時間以内でした。
 橋(きょう)静脈が出血源の場合は乳幼児に多いとされ、典型的な例では、乳児が後ろに転んで畳に後頭部を打撲 し、数分間泣いたのち嘔吐やけいれん発作を起こし、意識がなくなるということがあります。



検査と診断


 血腫は頭部CTで白く映ります(高吸収域)。血腫は脳の表面に広がるため、三日月型になります。



治療の方法


 血腫の大きさと症状の程度によって、緊急に開頭血腫除去術(かいとうけっしゅじょきょじゅつ)が行われます。日本のガイドラインでは、血腫の厚さが1cm以上を手術の目安にしています。
 血腫が少量の場合は手術の効果が低いため、重症でも薬物療法が選択されることが多く、頭蓋内圧亢進に対する脳圧降下薬(グリセオールやマンニトール)の点滴注射が行われます。頭蓋内圧亢進に対する特殊な治療法としてバルビツレート療法や低体温療法がありますが、副作用も大きいため適応は慎重に判断されます。
 脳ヘルニア が進行し、脳幹の機能が失われた場合(たとえば呼吸停止)は、手術での危険が高く、開頭手術を行えないこともあります。重症例では、局所麻酔で頭蓋骨に小さな孔(あな)をあけて血腫を抜く穿頭血腫(せんとうけっしゅ)ドレナージ術が行われることもあります。
 予後は、一般的に入院時の意識障害の程度に比例し、昏睡(こんすい)状態の重症急性硬膜下血腫の死亡率は70%、社会復帰は15%と報告されています。



(執筆者:並木 淳 )


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ダンナ様についた三つ目の診断名

『急性硬膜下血腫』


今振り返ると
非常に恐ろしいことなのですが

ダンナ様はHICU入院3日目にして
初めてMRI検査を受けました

なぜ3日も経ってからの検査になってしまったかは
残念ながら今はまだ
書くことが出来ない部分もありますが

日に日に意識混濁の状態が悪くなっていく中
ついに救急入院3日目にして
朝担当医から緊急連絡があり

「命を最優先させたいので、
MRI検査をさせて下さい。」

そう言われました

そして私は知らされたのです

この日は午後から
母と一緒に面会に行こうと思っていた私

今直ぐ病院に行かなければ!

もしかしたら…
私が病院に着いた時には
開頭手術を受けているかもしれない…

幸いなことに
私と母が病院に着いた時には
検査が終わり
HICUの病室に戻ってきたところでした


その後 担当医から
画像のコピーを見せていただきながら
何一つ理解することが出来ない状態の
ダンナ様と一緒に
説明を受けました


ダンナ様の脳の画像には…
前頭葉に幅1cmくらいの血腫があったのです

左側の前頭葉の出血の量が多く…
それでも既に出血は止まっていたので
保存的治療を受けることになったのです

通常脳内に1cm以上の出血が確認された場合
命にかかわることなので
医師は後遺症が残ることを承知の上で
開頭手術を行います


ダンナ様は
ギリギリの状態にあり
開頭手術を受けずに済んだのです