中華街にあるトラベラーズドミトリーに宿を求めた
外国人バックパッカー相手を得意とする、相部屋タイプの”雑居房“
飛び込みで泊まれ、ただ安上がりに寝るためだけの、そんな施設に

しかし、だ
遙々決心して来たのに
海もそうだが、奴さんに会いに来たのに、現地にいて丸1日音信不通とは

実は、奴と約束していた店が見つからないんだ
どこ、探しても
昨晩のBARのマスターに尋ねたが相手にしてもらえなかった 

そんな名前、知らないな。
他をあたってみたら?

で、おまけがついて、港の陽子だ
一体、どうなってるんだ………
旧友と昔の彼女が企んで、この僕を担ごうってことか
ハロウィーン過ぎたが、クリスマス迄にはまだ早い
僕の悪酔いぶりは、、想像にかたくない
挙げ句、同室の外人ペアの夜通しの会話が耳障りで一睡もできなかった


翌朝、宿を発ち、新山下から急俊な坂道を上り詰めた高台の公園にある県立文学館を目指した
ヨコハマのワイルドな一面を知るには、この地形を辿るのが最も適している
かなり息が上がった
仔犬を散歩させる地元の婦人たちに数回追い越された
当たり前だが、悔しさはない
年齢の諦めからではない
むしろ、こんな厳しいロケーションでありながら、横浜ゆえの高い固定資産税や緑化促進のための訳のわからん税金払わされる、彼女らのお立場に同情したい


夏目漱石の常設展示を見つけた
猫、三四郎、それから、こころ………明治期の初版本がある
装丁を変えた増刷版や版元を異にする同じタイトルが威風堂々、陳列されている
勿論、研究本、評論は、その数あまたある
宿酔もやがて漱石世界の中でデトックスされ、普段の自分を取り戻してきた

何かの一冊に夢中になっていた
ふと、顔を正面に向けた
そこにいたのは、あの陽子だった




あと3回でヨコハマ▪ストーリーは終わります🙇