映画は長さではなく、感動の質量である
全編に渡り感情の波が押し寄せてくる。
京本との出会いの直後の主人公の田園ランは、単なる喜びではなく、努力してきた成果を実感しながら自尊心を取り戻す凱旋の歩みであり、人間の心を豊かに描いていたと思う。
アニメーターのエモーションを紡ぎ出す力が卓越している。原作からあの脚本にした力もお見事。冒頭を学校ではなく、主人公の後ろ姿にしたこと。描く苦労を見せるところから、始めたのは大正解だと思う。また、お母さんこれ捨てといてのスケッチブックの上にある白紙の四コマ、飛び散るオレンジジュース、原作にないものが付け足されて、エモーションを足している。これぞ、演出だといえるだろう。
泣いた。
漫画読んだ時も泣いたけど、
映画、もう序盤から泣きっぱなしだった。
初日に観たけど、
他にも泣いてる人達いて
「だよね〜〜〜〜〜〜‼︎‼︎わかるよぉこんなん泣いちゃうよね‼︎‼︎僕も泣いてます。くるしい」
ってなった。
●アニメーターとしての押山清高監督の「勝利」を確信したのは、京本に認められた喜びを爆発させながら、雨のなかで藤野が奇怪なステップを踏みながら帰っていく描写を観たときだった。あれはマジで、アニメ史に残るくらいの名シーンではないだろうか。
そういったルサンチマンの解放が、雨のなか有頂天になって踊り歩く少女の「アニメーション/アクション」という形で、見事に結実している。