先輩編集者から受け継いだこと、後輩編集者へ伝えたいことで、なかでも大切と考えるのはどんなことですか。
●1つの見方に執着しないこと。
小説の編集をするうえでも、企画を考えるうえでも振れ幅のある見方が必要だし、振り子の振り幅は大きければ大きいほどいいと教わりました。
●やはり考えることを楽しんでほしいということです。心に余裕があると自身に思いこませることです。
ただ、考えるためには心の余裕が必要で、それは自分で頑張って作りだすしかない。池波正太郎『鬼平犯科帳』で鬼平は、大変な事件が出来すると、あえて自分で湯を沸かし、お茶を入れて一杯をできるだけゆっくり飲む。そうすると、俺はこんなに落ち着いているんだと、気持ちに余裕が生まれるという描写があるんです。
●話し相手を持つこと。
自分のなかのモヤモヤしたものを外に吐きだすだけでも、いろんなものがまとまってくるので、そういう相手をできるだけ持つようにしていただきたいですね。