まっすぐな愛が、本から溢れ出てくるようだと思った。 | 好きなことだけで生きられる

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「好きなことをしてそのことを発信しつづけると、そこに人とお金が集まります」by立花岳志
■当ブログの目的は2つだけ
●1つ目、習慣化 自分の好きなことを見つける。
●2つ目、出会い 気の合う仲間との出会いの場。

素朴な口調で語られる序章に、まずは心を掴まれてしまった。


青森の実家で、看護婦を目指し勉強していたチヤは、友人宅で「立派な絵描きセンセ」だという棟方に出会う。


何が描いてあるのかわからない絵は、強烈な印象を記憶に残す。一年後、二人は偶然に再会し惹かれ合う。


新聞広告を使っての大胆な告白を受けて妻になったものの、家族を養う収入のない棟方は、一人で東京に行ってしまう。


周囲からは心配されるが、「ゴッホになる」という夫の決意をチヤは疑わない。


芸術のことしか頭にないように見えるが、妻子の命を何より大切にする棟方が、微笑ましく魅力的だ。


棟方も驚くほどの頑固さで、作品を守ろうとするチヤの命がけの行動力に心打たれる。


原田マハ氏『板上に咲く』(幻冬舎)は、芸術家・棟方志功氏と、その妻・チヤの人生を描いた小説である。


[レビュアー]高頭佐和子(書店員。本屋大賞実行委員)

都内書店にて文芸書を担当