
涙がちょちょぎれるくらい忙しくって忙しくって、気がつくとあっと言う間に時が過ぎている。
読みたい本がもう次から次の縦列駐車状態なのを横目に眺めながらまたも猛烈に爆裂に気になる本を見つけてしまう。
幸か不幸かふかわりょう。
』や呉勝浩『Q』といった、他の月ならば月間ベストに強く推したかった作品があって悩ましかったけれども、いかんせん『地雷グリコ』が強すぎる。
ロジックの切れ味と物語の面白さを両立させられる作家・青崎有吾の最高傑作だ。
今月は呉勝浩の『Q』でしょ! と思っていましたワタクシも。
でも、こちらもめっちゃ面白かったのです。
そのルールと対戦だけでもニヤニヤわくわくがとまらない上に、青臭くない青春力にきゅんきゅんする。読みながら「マジか」と心の中で何度も呟く騙される快感。誰か一緒にグリコやって下さい!
普段はのほほんとして何を考えているかわからないが、いざとなったらとても頼もしい射守矢真兎がオリジナルゲームに挑んで並み居る強敵を倒していくという物語で、
伏線埋伏や展開の意外性、盤面の敵の心理読み合いなど、ミステリーに必要なものがすべて入っている。
対戦ものとしておもしろいのはもちろん、真兎を中心とした人間ドラマが最後で完結するところも評価点で、
論理だけではなく感情面にも配慮されている。
これ、日本推理作家協会賞獲るでしょう。
何この、
青崎有吾『地雷グリコ』(角川書店)
って。
全然知らなかったけど3人の評論家にこんな言われ方している本が気にならない方がどうかしているでしょ。