
テレビが置いてある部屋に。
本が置いてありました。
それは、
「アルケミスト」
というタイトルの本でした。
どうらや娘が読んでいる本みたいです。
ご飯を食べ終えて
娘から
読んだことがあるかと聞かれました。
ある
と答えると
どんな内容だったかと
聞かれました。
ずいぶん前に読んだので、
くわしい内容は覚えていませんでした。
たしか、
少年が自分自身の使命に
気づく話だと答えました。
続けて
「なぜ本を読むのか?」と
聞かれました。
登山家なら、
きっと、
たぶん、
おそらく、
「そこに本があるからだ」
と答えるでしょう。
答えを考えました。
私ならどう答えるかと
しばし
考えていると
待ちくたびれたのか
あるいは、その質問は
もう
どうでもいたそうと思ったのか
次の質問が
きました。
それは
こういう質問でした。
「本を読んで
何の役に立つのか?」
と
これはいい質問です。
役に立たないことなら
したって意味がないですから
この質問にどう
答えるかで
先の質問の
なぜ本を読むのかにも
通ずる答えになるなと
直感でわかりました。
これはうかつには
答えられないぞ
まさに私自身をも
問われる内容じゃないかと
うーん
しばし熟考しました。
そして、こう
答えました。
「人生のためになるから」
と。
その答えに
対する
娘からの目立った
リアクションはありませんでした。
はたして、子ども電話相談室では、
なんと答えるかわかりませんが。
なぜ、本を読むのか?
何のために本を読むのか?
この質問は、簡単なようでいて
実に深く
質問された人の本質を浮き彫りにされる質問だと思われます。
普段、こんなことを考えて本を読んでいる人はあまり多くないと思いますが
しばし、立ち止まって
なぜと問うてみることは
きっと、実りのある読書に、力を貸してくれることでしょう。
でも、本当のことを言うと
本を読むのに理由なんてないのかもしれません。
読みたいから読む
そんなシンプルで
そっけない
思いから
ただ、読んでいるだけかもしれません。