最終決戦:創世の輝き
『ならば、その意思ごと消え去るがいい』
アビスが手をかざすと、空間全体が黒い津波となって二人に襲いかかった。
触れるものすべての存在を消去する「無の奔流」。
「ハァァァァッ!!」
レオンは聖剣を振り上げ、五合の晶片の力を一気に解放した。
【大地の剛健】【氷の静寂】【海の流転】【風の自由】【雷の裁定】。
五つの属性が魔法陣を形成し、漆黒の奔流を正面から押し返す。
その隙を突き、サラが跳躍した。
「これが、私の……私たちの全力よ!!」
放たれた一撃は、もはや矢ではなかった。それは希望を形にした光の槍となり、アビスの「虚無の瞳」を貫いた。
『ヌォォォォ……ッ!!』
アビスが悶絶し、一瞬だけその輪郭が霧散する。
「今だ、レオン!!」
レオンは、かつて師ガイウスから受け継いだ型、そして旅で出会ったすべての生命の想いを、最後の一撃に込めた。
彼はアビスへと肉薄し、背後に囚われていた【第六:魂】と【第七:無】の晶片を、その手で掴み取った。
「すべてを……繋ぎ合わせる!!」
七つの晶片がレオンの手中で揃った瞬間、それらは激しく共鳴し、レオンを眩いばかりの紅い光の繭で包み込んだ。
【大地】【氷】【海】【風】【雷】【魂】【無】。
七つの理が、一人の英雄の意思を依り代として、真の再統合を果たす。
レオンの身体は、純白の神衣を纏い、背中には翡翠色の結晶の翼が広がった。
その手にあるフェルシオンは、もはや剣の形を越え、万物を再編する『創世の杖』へと進化を遂げていた。
「アビス……お前の言う通り、世界は一度砕けた。だが、それは終わりのためじゃない。より強く、より深く結びつくための試練だったんだ!」
レオンが杖を天に掲げると、ヴォイド・コアの暗黒を払う絶大な紅の光が炸裂した。
それは破壊の光ではない。
万物に再び「定義」と「温もり」を与える再生の光だった。
『……よかろう……。汝らの意思が、この虚無を凌駕するというのなら……見せるがいい。再編された……新たな世界の……姿を……』
アビスは穏やかな言葉を残し、雪解けのように光の中へと消えていった。