(「ロミオとジュリエット」冒頭で主張する、モンタギュー家の若者たち)
(ジュリエットを中心に、夜のダンスパーティで踊るキャピレット家の若者たち)
25thへの、演目決めから1週間。
アラムニーのホームページでは、まだ演目の正式発表はないようだ。
今朝は、大リーグドジャースの大谷翔平が、一試合で2本のホームランを打ったというニュースが飛び込んで来た。
彼の打席に立つ姿は、とにかく美しい。
スタンス(足の構え方) が、相手投手に対して微妙に調整しているように見える。
重心の移動や呼吸の整え方が自然なのは、心技体のバランスが良いからだ。
宮本武蔵が、対決する相手に合わせ、間合いを計りつつ2刀を構えるのに似ている。
舞台に立つ役者も、まず重心や呼吸で意識を整え、瞬時に空間の把握を行う。
足を板に乗せたとき、人の心を打つ立ち姿にならなければ、それはただの日常になってしまうから。
リアルな演技を行うストレートプレイとちがい、ミュージカルは日常とは別の世界観を持たねばならず、しかもスポーツの持つスピードやパワーも不可欠だ。
一流と言われるアスリートに、学ぶものはたくさんある。
大谷選手が投打の二刀流で、野球界の常識を超えてしまう活躍は、伝統ある大リーグさえも覚醒させつつあるのが素晴らしい。
設立してから25年目を迎えるアラムニーも、過去の実績にこだわることなく、「常識」を乗り越えて、さらなる先を見据える。
今を大切にするのなら、一歩でも二歩でも前へ進もう。
今にとどまろうとしたら、それはもう過去になってしまうから。
「ロミオとジュリエット」を創り上げている時、ふいにこの言葉が沸き上がった。
そうだ。一瞬一瞬の「今」は、前へ進むからこそきらめく、スターダストなのだ。
それが顕著なのは、全身を躍動させるダンスシーンの魅力。
特に「ロミオとジュリエット」は、モンタギュー家とキャピレット家の対立が根底にあり、そのように教育された若者たちが敵意をかき立てるダンスが胸を打つ。
ドラマに不可欠な感情のぶつかり合いやすれちがい、甘美な恋の表現など。
分別ある大人を出さず、燃え立つ青春の熱にかられる若者だけのストーリーのため、ダンスシーンもスパークするほどの純度が感じられた。
無垢な心が無慈悲に砕けても、和解をへて復活は可能であるとのメッセージが、客席へ届いたことを信じたい。
人間の良識を無視するロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルによるガザ爆撃などを、リアルタイムで知るアラムニーメンバー。
次回作でまた、若き感性による新鮮な取り組みが見られるよう願っている。