(映画のワンシーン。キャシーの登場でドンに文句をつける大女優リナ・ラモント)

 

(キャシーの投げたパイは、狙ったドンをはずれて美しいリナの顔面に直撃!)

 

日曜日は、2月以来久々の「エール」稽古。

 

この間は、姉妹劇団「アラムニーA’s」による「ロミオとジュリエット」の公演が続き、エールメンバーも客席から声援を送って、後輩の舞台を盛り上げてくれた。

 

エール版「雨に唄えば」は、舞台経験豊富なメンバーに合わせ、人間描写に工夫をこらせて、ドラマ性の高いストーリーになっている。

 

オープニングは、宝塚的で華やかなダンスシーンから始まるが、進行役のドラ・ベイリーによる解説は、説得力のある舞台俳優並みとした。

 

同様に、補佐役のコズモ・ブラウンには恋人のオルガ・マーラを配するなど、ニューヨークの住人らしい個性と魅力を発揮してもらう。

 

「雨に唄えば」の公演は8月であるが、この段階で「劇中映画シーン」の映像は完成し、「ダンスナンバー」の振付も進んで、作品に対する強い熱意を感じるね。

 

オープニングは、チャイニーズシアター前の大喧騒から、ハリウッド大通りへ。

 

舞台俳優を目指すキャシー・セルダンが、思わぬ成り行きで映画の大スタードン・ロックウッドと出会う。

 

立場の違う二人だが、どこか惹かれ合い、シェイクスピア風のセリフで別れる。

 

ドン   フェアウェル舞台女優よ。別れは甘き悲しみ、もう会う事はあるまい。

キャシー 奇跡でも起きない限り二度と。フェアウェル、ドン・ロックウッド。

 

このことが発端で、シンプソン所長主催によるパーティ会場の再会(パイ投げ) が、二人の心をつなげてしまう。

 

そしてついに映画界は、サイレント時代からトーキー時代へ。

 

モニュメント映画会社も、声の入るトーキーへ切り替えるのだが、様々な問題が発生して、現場は混乱を極める。

 

切り札は、容姿の美しいリナの声を、新規採用したキャシーの声にすり替えること。

 

このアイデアに心弾ませるドンは、キャシーへの愛と共に雨の中を歌い踊る。

 

「雨に唄えば」の名シーンはこうして生まれるのだが、公共のホールは水を使えないため、照明と音響を工夫して臨場感を出すことにした。

 

喜劇らしく、発声練習のドタバタや、マイクの不具合などの爆笑シーンもあり、とにもかくにも初のトーキー映画「踊る騎士」は完成。

 

感動のラストシーンは、客席降りで観客と共に臨場感を盛り上げたい。

 

稽古中にセリフを付け加えたり、動き方をハリウッド的にするため、基礎演技をレクチャーしているうちに、たちまち稽古時間を使い切る。

 

多くの課題が発見されたものの、それをバネにして飛躍するのがエールであり、次回の稽古までにクリアすることを約束し、集中稽古を終了した。