(みかぼみらい館大ホール公演で、ロミオとジュリエットの死。霊廟のワンシーン)

 

本格的な春を感じる、四月陽気の日曜日。

 

元総社公民館ホールには、アラムニーメンバーや当日のスタッフを担当するOG。そして、卒業式を終えて見学の高校生たちが、朝早くからスタンバイ。

 

エレクトーン奏者菊地さんもスーパーバイザー中村さんと共に、通し稽古に臨む。

 

3都市6公演のラストを飾る、昌賢学園まえばし小ホール(600席)2回公演へ向け、さらなる飛躍を目指すアラムニースピリッツがみなぎる。

 

稽古前に、「今」とはそこに留まらないこと。止まればその瞬間「過去」となる。常に進み続けようと檄を飛ばす。

 

14世紀末の、イタリア都市ヴェローナ。

 

いにしえからの怨恨により、激しく対立するモンタギュー家とキャピレット家から、短くも美しく燃える、運命の恋が生まれる。

 

あまりにも有名なシェイクスピアの戯曲を、全員大学生のアラムニーメンバーが、若々しい感性で現代によみがえらせる。

 

フランス発ロックミュージカルであるが、「プロコフィエフ作曲・ロメオとジュリエット」の生演奏や、ロマンあふれる古典的なセリフも多用する。

 

コロナ禍での、「アイーダ」公演から心機一転。

 

「アラムニー」から「アラムニーA’s」と改名したのも、青春が輝き続ける可能性を追求する意識あってこそであり、今回の舞台にはそれが強く反映された。

 

研究心こそが大学生の矜持であるならば、唯一無二の「ロミオとジュリエット」として、命を吹き込まなくてはならない。

 

それこそ、舞台と客席をつなげる魅力を生み出し、大人だけでなく、若い世代の共感を得ることにつながるはず。

 

午前中は、スペランツァ組の通し稽古。

 

第一幕におけるダンスパーティ前での、お笑いトリオの爆笑アドリブで、緊張気味の見学者たちも気持ちがほどける。

 

バルコニーシーンへの流れもスムーズであり、初々しい恋に心躍らせる二人のセリフが、生演奏の音楽に乗って美しい。

 

第二幕になると、決闘シーンの緊迫感により、その後のセリフが弱くなる傾向が見られたが、集中力が高まってクリアできた。

 

ティボルトとマキューシオの思いがけない死と、残された若者たちの嘆きが共感を呼び、涙を拭う見学者も多かった。

 

そして、ラストシーン「罪」から「今」への大合唱へ。

 

ロザラインにより、ルネサンスの風がヴェローナにもたらされ、死の悲しみが未来への希望へ昇華する。

 

新たな可能性を示唆する、感動的なシーンになったのは素晴らしい成果だね。

 

午後は、テネレッツァ組の通し稽古。

 

午前中のダメ出しを生かして、よりパワフルに疾走感を伴う場面展開から、さらに新たな魅力が生まれた。

 

「今」に留まらない、強い意識が創る次の「今」へ。

 

課題を設けて、様々な角度から研究し、その結果を自己表現する。

 

理論と実践を伴い、進化し続ける舞台こそ、アラムニーA’sの真骨頂と言えよう。

 

エレクトーンの響きに乗せ、400年の時を超えた不朽の名作「ロミオとジュリエット」が、現代に生きる我々に大切なものを問いかける。

 

この純度の高さは、アマチュアイズムを継承するアラムニーならではのこと。

 

大千秋楽の前橋公演でも、ぜひ多くの人たちに観劇していただきたいと思う。