(誕生日のダンスパーティで、ロミオと運命の出会いをするジュリエット)
(今回の舞台で重要なキャラクターとなるロザラインが、運命の恋を紡いでゆく)
3都市6公演のこけら落としとなる、太田市カルトピアホール公演まであと1週間。
全ての準備を整え、エレクトーン奏者菊地さんや、総括責任者スーパーバイザーの中村さんをお迎えして、宮郷公民館ホールに全員集合。
スタッフ長の樋口さんや、OGメンバーの見学もあり、「お静かに!」の声に空気が張り詰める。
アラムニー24年の歴史の中で、3度目となる「ロミオとジュリエット」。
18名のキャスト全員が、青春真っただ中の若者たちであり、ルネサンスの自由なときめきが心をくすぐる、14世紀の商業都市ヴェローナを表現する。
こだわったのは、若きシェイクスピアが奔放に描くロマンチシズムと、現代のロックミュージックを融合させて、疾走感のある新鮮な舞台を創ること。
その狙いは、アラムニーならではのみなぎるパワーや、スピード感に結実して、観る者の胸をときめかせる。
午前中は、テネレッツァ組。
オープニングの楽曲「ヴェローナ」で、ティボルトとマキューシオによる序詞役のセリフから、全員のダンスバージョンへ。
本来あるべきモンタギュー家やキャピレット家の当主や神父は姿を見せず、若者たちだけの対立する構図が一気に舞台を盛り上げる。
心理表現に有効な「予感」が、夜の貴公子ロミオと月の巫女ジュリエットを、甘美な幻想空間に招き寄せる。
そして、誰もが知る仮面ダンスパーティへ。
敵地へ乗り込むキャピレット家の若者たちが、サス演技で若さにかまけてしゃべり合う「太田ネタ」も披露される。
「気合いだ気合いだ!」や「小玉スイカ」のお笑いネタで、大爆笑まちがいなし。
美しいバルコニーでのシーンから、いよいよ両家の対立は高まるが、可憐なジュリエットの一途な恋心は、ロミオとの道ならぬ結婚を成立させる。
第二幕は、エレクトーンによる、プロコフィエフ作曲「ロミオとジュリエット」の本格的な生演奏からスタート。
一台のみで、オーケストレーションの響きを奏でてしまうエレクトーンは、聴く者にとって魔法としか言いようがない素晴らしさ。
初お目見えの「狂気の沙汰」は、尋常でない集中力でアピールしてくるね。
冒頭から一気に空気が変わる第二幕は、さらに深くドラマ性に富み、悲しみと怒りの中から、いかにして若者の未来へつなげるかが焦点になる。
ラストの霊廟で死から生へ立ちあがる、強い命の力。そして若者は大人へ飛翔する。
テネレッツァ組は、いくつかの課題を持つものの、本番への道筋を描いて秀逸。
午後は、スペランツァ組。
エレクトーンの響きは冴えわたり、ホール全体を包んでミュージカルを盛り立てる。
午前中の修正点をもとに、さらに精度を高めたアラムニーは、たくましい意志とゆたかな想像力、そして燃える情熱を生み出していく。
今回は、2幕ラストの「罪」に続く「今」のオリジナル曲と、カーテンコールへのつながりが明確になり、心ときめく舞台づくりが見えてきた。
あと一週間で、太田の本番を迎える。
この間で、さらに精度を高めるのがアラムニーイズムの真骨頂であるから、期待はさらに高まっていく。